夕方、自宅のテレビで宇都宮の最終レースを見ていた。
粉雪の舞う中での競輪は美眺であった。
しかし走っている側には酷な状況だったろう。気温は下がる。視界も狭まる。眺めどころじゃない。でも中には「あ、雪だ」と雪中競輪に沸き立つ選手がいないとも限らない。そのひとりが星野洋輝(福島・115期)だとは申さぬが、吹雪を斬りながらのブロックは見事だった。一度当たって本線の捲りを失速させ、二度目で駄目を押した。
雪の中のブロック。むかし似た光景を見ている。既視感ではなく、現実の光景のはずだった。しかし場所も選手も出てこない。メロディが流れリズムを打つのに曲名は出ない。場面も台詞も憶えているのに役者の名前が出てこない。老いの日常である。
つれづれに記していると屋根の上に音がする。どうやら霙らしい。
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