買っている二人――小堀勘太と原大智――が誘導員との車間を切った時に、四人ラインの先頭を務める齋木翔多が慌てて腰を上げると踏んでいた、というか私が勝手にそうならんかしらと都合良く思っただけだ。小堀は半ば突っ張るつもりだったかも知れないけど、一気に来られれば、ばらけた所に入り込み捲り返し。そんな絵図を描いたりもしたが、齋木に慌てて行くそぶりはなかった。仕方ない。いくら四人ラインの先頭で二三番手に地元地元だったとしても、静岡と群馬はちょっと距離がある。大括りに東ラインと言ったって、齊藤が志願して先頭になったわけでもなかろうし、気持ちはわかる。
突っ張った後、せめてペースでと小堀に視点を集中したが、意に反してがんがん踏んでいる様子で、これまた仕方がない。もし命乞いで流し別線に行かれるようなら元も子もなくなる。ま、最初から原さん(小堀より四学年上である)を連れて来るという雰囲気だったのかしら。ああ、原は冬期五輪の銅メダリストであった。小堀ががんばり原の銅メダル(三着)、そんな予想が出来なかったのは一重に私の力不足であり、妄想力不足である。
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