ブログ

ROCK IS ALRIGHT

2023/01/31 15:38 閲覧数(303)
このブログを違反通報します
違反通報のフォーム画面へ移動します。
 阿佐田哲也の『競輪教科書』は字義どおり俺の競輪の教科書で、伊集院静の『夢は枯野を――競輪場躁鬱旅行――』は俺の競輪場の案内書だった。そして俺のロック音楽の教科書はといえば鮎川誠の『200 CD Rock’n’Roll 俺たちの愛したパンク ロック ブルース』であり、『60sロック自伝』だった。鮎川の音楽が好きなのはもちろん、鮎川が書く文章もまた実に好きだった。
 『DOS/Vブルース』を読んだのは何年なのだろう。ロックンローラー鮎川が、コンピューターと、インターネットと、格闘しながら遊び巡る、実録だった。影響された俺はほどなくデスクトップコンピュータを手に入れ、ホームページ・ビルダーなる作成ソフトだったか解説書だったかを買い求め、無謀にも自分のホームページを作った。何回短気を起こして放り投げようと思ったか知れない。ネットにつながるのにも今では考えられないくらいの時間がかかった時代だ。粗末なマイページがアップされたときの嬉しさを忘れないでいる。
 鮎川の演奏を最後に見たのは何年なのだろう。千葉のライブハウスかなあ。
 最初に見たのは憶えている。場所は浅草の国際劇場、もしくは渋谷のパルコ劇場で、大晦日恒例、内田裕也主催のニュー・イヤー・ロック・フェスティバルだった。あの日、俺の前で躍動していた内田も鮎川も逝ってしまったわけで、ただただ寂しい。
 二十代後半、競輪への病み付き加減が烈しくなるにつれ他の娯楽がおろそかになっていった。たとえばプロ野球観戦。パチンコ。麻雀。すっぱり足を洗ったわけではない。が、通う頻度はどんどん下がっていった。それでもロック音楽を聴くことだけは別だった。どれだけ競輪中心の生活になってもロック音楽を犠牲にすることはなかったと思う。
 ♪嵐の中で生まれ/風の中を生きる/寝たい時に寝て/やりたい時にやるだけさ/気にするなよほんの冗談/何もかもうそっぱち/俺はホラ吹きイナズマ/パッと光って消えちまう/パッと光って消えちまう。
 ロックンロールの歌詞を抜き書きするなど野暮というものだろう。『I’M FLASH “Consolation Prize”』のイントロ、鮎川のレスポールの鳴りと響きは、満員の観衆の中、山田英伸(神奈川・51期)が外から競りに行ったときに生まれるどよめきと同等同質である。
  • 読者になる

現在、コメントの投稿を受け付けていません。

TOPへ