まずは長文失礼します。

　先週、平原康多選手の引退が発表されました。平原選手といえば、関東でも有数のG1レーサーでした。発表が急だったこともあり、いろいろな反響があったようです。平原選手、お疲れ様でした。怪我に苦しんだけどゆっくりとして欲しいです。
　さて、この流れを見ていて思ったのですが、競輪選手というのはプロのスポーツ選手でありながら引退の発表や引退試合などの状況が非常に少ないように感じます。
　私がこの関連で思い出すのは京都の松本整さんです。彼もＧ１レーサーであったのにも関わらず最後は非常に残念な感じの急遽の引退に暫く絶句した記憶があります。それ以外でもチャレンジで落ちて、もうどうしようもなく引退するケースはまだしも神山雄一郎さんのようなＡ級に落ちるからということで引退を決意する。こんな選手も比較的多いと思います。でも引退会見はあるけど引退式は非常に少ない。

　そんな中で今年の宇都宮記念の話に飛びます。レジェンドカップ第1回神山雄一郎カップという冠名。この時のエキシビションレースが非常に面白かった。なぜかと言いますと。先日引退されました神山さんが１番車に入り、その他８選手がすべて栃木の現役選手。そういった中でのエキシビションレース。S級選手、それからチャレンジの選手、いろんな選手がレースに参加してたんですが、通常であれば引退された方のほうが不利でしょう。でも９選手が乗っていたレーサーのタイプが全然違ってました。特にS級のような、まだ脚を持っているような選手は街道に出るピストで参加。更にチャレンジの選手はレーサー。おそらくギアは練習用。そして神山さんだけがおそらく競走ギアを使ってレースをしていました。
　ですから、レースを見ていると皆さんかなりもがいているように見え、一生懸命走ってるように見えるんですが競走レーサーで競走ギアを使っているので全然脚が違う。ただ引退した後に当然練習しないと踏む事なんて出来ないのは当たり前なので練習はされていらっしゃったと推測します。結果はこの宇都宮競輪場で何回見たか分からない様な素晴らしい３角まくりを決めて神山さんが地元で一着になる。
　実はこういったようなレースというのは今までなかった。大体こういうエキシビションはデビュー前の新人か本当のレジェンド達が多かった。引退試合（レース）としては初めてではないだろうか。プロスポーツ特に野球なんかでは（最後に引退試合というのを行える一部の選手）大体地元のホームゲームの時にやったりします。あとサッカーなんかでも比較的あったりします。そういう中で競輪というスポーツはなかなか競輪場の都合もあるんでしょうけど、なかったです。そういう意味では非常に面白い試みだったと思いました。是非こういう事をまたどこかでやってほしいですね。

　あとは競輪自体今は昔とだいぶ違ってきているという面もあります。失格になった選手はさておき、落車した選手が再乗してゴールを目指すとき、昔ですとまあ非常に厳しいお言葉、簡単に言うと強烈なヤジですけれども笑食らうケースが多かった。
　今は再乗選手に対しては拍手で迎えるというシーンが多くなったような気がします。またガールズレーサーや地元選手の応援に際して応援コーナーみたいのを作って選手の名前が入ったタオルなんかを掲げて応援する。こういった事象が増えてきたのが興味深い。
　考えてみれば、この地元応援コーナーというのを作った最初の競輪場が多分宇都宮だと思います（違っていたらごめんなさい）あと地元応援というのを最近は積極的にいろんな競輪場で出すようになりましたが、これの元祖は多分前橋競輪場のオーロラビジョンかな？と思います。いずれにしても昔の競輪ではあり得なかった事が少しづつ起こってきて競輪という競技もだいぶ変わってきている？気がしますね。ですから、先述した引退試合のようなものがイベントでもいいのでできれば（最低G1制覇した選手に限定されるかと思いますが）いいな、と思いました。

　最後にこのレース終わったあとの神山さん。レース後には今まで見たことないような会心の笑顔。そして観客の温かい拍手喝采。これでいいんだと思いますよ、今の時代。