夏の思い出といえば、国道17号線の暑さが忘れられない。

高校時代からの輪友と、前橋に遠征しようと言い出したきっかけは何だっただろう。

前橋まで電車や車ではなく、お互いの原付バイクで行こうと決めたのは若さ故の酔狂か。

確か寛仁親王牌だったはずだが、何年前かもレースの収支も覚えていない。

だが、トラックや白バイに怯えながら走った17号線の照り返しと、ロードムービーの主人公よろしく風を切って走る輪友の後ろ姿とその向こうにそびえ立つ入道雲、雷鳴轟く帰り道、雨宿りしながら吸った、湿気ったタバコの美味さは鮮明に覚えている。

あの時乗っていたスーパーカブは、メーター1周を果たさずに廃車になってしまった。

清志郎に言わせれば「エンジンいかれちまった」だ。

俺達も歳を重ねて、半ば「俺ら『が』ポンコツ」になってしまった。

夏の終わり、ちょっとしたノスタルジアを感じているうちに、もうすぐその前橋でオールスターが始まる。

輪友を誘って、久々に前橋に行ってみようか。

もう無茶ができる歳じゃないし、ゆっくりと電車で。