やれば出来るのだから――先生が教え子を奮い立たせるための常套句だが、俺も小中学生の頃、先生と母子の三者面談でよく聞かされた。はたして担任教諭は俺に云っていたのか、母親へ云っていたのか――。
やらない子はそのままやらない大人になって、競輪なんぞ「やる」人間になった。そんな努力とは縁のない俺が、――素質は間違いなくあるのに、練習すればS級上位も夢ではない――と、他人の心配をしたり努力を強いたりするのが妙に可笑しい。
二年前の、あのダービーの時の、あの脚があれば、絶対に捲れるはず。やってみろ――! 心中の「やれば出来る」は選手を諭しているのか、俺自身への励ましなのか。Oh,神様!
オールスター競輪の開幕戦は二車単280円から三連単5,350円と跳ねたが、薄ぼんやりとだが察していた・ちょっとだけそんな匂いも嗅いだ。それなのに近藤龍徳の三着は一銭も買っていない――。
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