ブルース車券のTさんだったから、アクティブスピーカーを持参して墓前でストーンズでも鳴らそうか――。二三日前まではそんなことを考えたりもしたものの、当日はばたばたしてすっかり忘れていた。曇りの天気予報は見事にはずれ、八王子の空にはお天道様が暑いくらいだった。
普通のお墓じゃないですかと、立派な墓石にむかって失礼にも俺が冗談をいうと、Tさんの返事はないが、燃やした二束の線香がいいぐあいに崩れ、妙なオブジェ風に見えなくもない。
帰路、中央高速道の車内から左手に府中競馬場が見えた。一瞬の風景ではあっても、天皇賞当日の混雑したスタンドを視認することはできた。調布インターで降り競馬場に寄り道する――そんな身軽さの失せた俺はもはやツマラン人間だ。
帰宅してテレビを点けるとちょうど中川誠一郎の表彰式だった。
中川は強い・おそらく番手捲りだ。だけど今の競輪、四連勝はなかなかにむずかしい――根拠も理由も推理もない二着づけ車券が俺の結論だった。
「ニコニコ忍者」というキャラクターは今どのくらいの人数に通じるのだろうか。にやけ顔と表せば失礼だから、親しみ過半のニコニコ顔とでも記そうか。俺にとって中川誠一郎は「ニコニコ忍者」なのだ。そして競輪界の超一流が「ニコニコ」でありつづけることは稀有におもえたりもする。中川の頭で二車単710円、三連単24,440円――。天国のTさんはしっかり押さえているだろうか。
Sが運転する車の助手席の左窓のむこうを通りすぎた競馬場は、想い出すにまるで夢中の遊園地みたいで、きっとTさんの土産だったのだろう。
附記――。もしかしてと今調べたらやっぱりそうだった。天皇賞は一枠二番のアーモンドアイ、五枠九番のダノンプレミアム、三枠五番のアエロリットの順で、熊本記念in久留米は一枠一番中川誠一郎、三枠三番松浦悠士、五枠六番門田凌――。そう、ともにおなじ枠番の三頭三人なのだ! と、大発見のように述べても、だからどうしたぃ? ですよねぇ……。お粗末――。
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