もの心ついた頃から二十歳ちょっとまで東京都下の小金井市という土地で育った。
歩いて二分の近所に養鶏場がありよくお使いに行かされた。百円で玉子十個だった。通学路の途中には牛舎も豚舎もあった。自宅の前は畑だった。
中央線の武蔵境駅と武蔵小金井駅の丁度中間位置に家があったから、家族で出かける時は――電車に乗るには――大通りまで歩きバスでどちらかの駅に出なければならなかった。
東小金井駅という新駅が出来たのは何年だったろう。お祭り騒ぎまでいかないにしても、駅前で祝典とか催された。大人たちには数年前からわかっていた事なのだろうけど、子供たちは突然駅が現れたみたいにはしゃいでいた。前後して中程度の貨物駅も新駅に隣接して完成した。その辺りからだろうか。前の畑がなくなり家が建ち始める。砂利道だらけだった町に舗装路も増えていった。とくに線路際の道が広くきれいになり、その道はほどよく勾配があったから、子供たちの自転車の恰好の走路となった。幾つの時だったろう。私は斜面を得意気にジグザグ走行していた。と調子に乗りすぎバランスを失い、制御不能となった自転車と共に坂道を疾走する羽目になった。派手に転んで止まるまでの長かったこと。実際は何秒何十秒の時間なのだろうけど、いやぁ恐かった。今になってもあの時の恐怖心を忘れないでいる。
そんな経験を持つ、運動神経は鈍い、自転車漕ぐも下手、そんな私がプロの自転車乗り競輪選手にとやかく言うのもなんだけど、――どうしてこんな所で――なにゆえいとも簡単に――落ちちゃうの?
競輪に落車はつきもの。だけど、つまらない落車は勘弁願いたい。
素人目にはつまらん落車でも、玄人=選手には「これこれしかじか」の理由がある。それは否定しない。競輪の落車は個の責任に収まらない事象が数多ある。全体責任は大げさにしても、各々の思惑や所作の連鎖が落車を生む。
わかる。
わかるけど、見た目に悪いうっかり落車は、百害などないにしても一利もない。
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