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Good Times Bad Times 大宮競馬場

2020/01/17 15:18 閲覧数(607)
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 そのデカい景観から大宮競輪場を大宮競馬場と冗談めかした同僚の言葉に、上手いこというもんだと相づちを打ったことがあるが、大宮五百走路が先行屋泣かせの大きさであることは、実際に現場で目の当たりにすると大抵のひとは納得するはずである。
 逃げてこそ新人の金言が今以上に浸透していた昔の競輪において、大宮デビューの新人選手は大変だった。幾人もこの目で「大宮競馬場」の長い直線に泣いたスター候補を見ている。
 あれは何年だろう。まだ現役で走っている選手なので名は匿すが、立派な在校成績の某が未勝利(三着五着とかそんな数字だったか)で最終日の敗者戦を走った。いかにも大宮では正直すぎる逃げがたたった二日間だったから、さすがに今日は何とかするだろうと頭と二着で筋車券を打ったわけだが(まだ枠単のみの時代である)、またもや某はドンと仕掛けズブズブを喰った。一緒に見ていた先輩が某は強くなる、大宮であの逃げが打てるのだからと褒めるのをよそに、俺は腹立ちまぎれに毎日ここで練習しているんンでしょう(某は地元の新人だった)――! すこしは学習しろとかプロじゃねぇ等、ともかく一流にはなれるまいと、捨て台詞を吐いた。今おもえば先輩の仰せはもっともであるのだが、意固地な俺の臍はまだ真ん中には戻らず、後年の某の評価はまだ定まらずとも、独善的な己の「競輪閻魔帳」には終始一貫一発屋の項に分類されている。
 只今大宮記念二日目の第十競走が終った。ほら、逃げちゃ駄目なのよ、捲ったもん勝ち――! スマート・フォンにむかってつぶやく阿呆がひとり――。
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