奈良のFⅠ(十日~十二日)に和田健太郎が乗っていた。
来る前の京王閣ピンピンピンでまさにエラヅヨ(えらく強い)だった和田が走っていた。
京王閣だけじゃない。八月九月と時折尋常じゃない脚を見せていた。
友人曰く「異常に強い」和田を初日から買うのはマナーである。
初日――。渡邉雄太の番手ですさまじいブロックを放ったが、結果は共倒れに終わった。
準決――。再び渡邉の番手も南関の布陣は鈴木陸来-渡邉-和田。それでも和田の頭買いにゆるぎはない。が、なんと。赤板手前で和田は渡邉マークをはずしてしまう。それでも打鐘から終審あたりで必死のリカバリー、三番手におさまり返したが、二着がやっとだった。
決勝――。三度目の正直だ。まとめて取り返すためにも和田から渡邉じゃない車券を買うのが筆者の性癖である。残り二周半から渡邉が一気に前に出た。番手に和田、三番手武藤龍生の三人ラインで早逃げだ。しめたと内心よろこんだのもつかの間、下げきったはずの三谷竜生がインから番手まで来た。打鐘手前から終向すぎまで目一杯、内三谷、外和田で烈しく競った。押し合いへし合いやった。ガチン・ゴチン音がするような体当たりの応酬だった。和田の頭は、和田から渡邉じゃない車券は遠のいたが、それでも見物に力がはいった。和田は番手を護ったもののすでに余力なく、後ろから二人に抜かれた。
いーい競輪見させてもらった。
未勝利でも和田健太郎はエラヅヨだった。
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