本日(七日)の弥彦決勝――新田祐大の一着失格――を見終えた直後から本稿を書き始めた。ゴール前の派手に横に動いた新田におどろき、目を見張り、すこし笑った。ある意味かわらぬ新田の「宇宙人」ぶりに感心もした、と記せば車券が懸かっていたひとには怒られるだろうけど、まあ一つご寛恕ねがいたい。
新田のデビュー時の様子をもう思いだせない。むろん最初から強かったのには間違いない。売り出し中の新田はこうだった、という記憶も薄れている。しかしヒエラルキー上層の常人となってからの新田の競輪には割と濃い目の印象が残っており、その総体を示して「宇宙人の新田祐大」、誰が名付けたかは定かではないけれど、筆者もよく拝借させてもらった。
安易に番手捲りを打たない。そんな性向の自在選手は幾人もいる。新田は先行捲りの時からなかなか番手捲りを打たない選手だった。もう出ちゃえばいいのに! ぎりぎりまで別線に併せようとする新田にやきもきしたこともすくなくない。そこら辺りも宇宙人の特性だった。
新田が代表チームを脱けたのは何年前になるのだろう。その直後からか、しばらくたってからかは判然としないものの、新田の競輪があきらかに変わったと感じたのは筆者だけではあるまい。一時はそのオールラウンダーぶりを称え「ニュー新田祐大」などと讃辞もされた。
おそらく新田祐大の競輪は全部見ていると思う。過去に平原康多の競輪は全部見ると記したけど、最近は、正直に申せば、VTRをふくめて見ない時もある、見ないで済むようになってしまった。断っておくが平原を軽んじているわけでは決してない。なんか貶め言のように響いたらごめんなさい。
話題を新田に戻す。新田が何をやりたくなったか、何者になりたいのか、悩みの中にいるのか、まるきりそうではないのか、そんなこと俺にはわからないし、興味もない。「航続距離が落ちている新田」「同じ相手に二度も三度も抜かれる新田」「変なところで引かない(位置にコダワル?)新田」「空いているの? 心配するような場面で内をすくう新田」……この半年に限ってもいろいろな「新田評」を記した。
「やっぱり新田は宇宙人だった」――喜怒哀楽ぜんぶを含有する新田の競輪は見のがせない、観ずにはいられない。
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