今年もグランプリが近づいてきた。競輪にあらずスポーツでは優勝した者が称賛されるが、それ以外にもドラマや笑い、涙がある。プロ野球なら珍プレー好プレーというところなんだろうか。その観点から私からは今年は2つのレースをピックアップする。まずは2月の奈良記念準決勝、新田祐大である。打鐘、嘉永と接触しバンク上部の金網まで行ってしまい最後方に、それから立て直し圧巻の全車捲り勝ちを披露した。ご存知の事だろうがこのレースはしばらくの間フィーバーし、何度も動画を見返した。現地の観客もスマホ越しの我々にも驚愕のレース、最後は歓声が上がり大拍手がおこった。ああいうドラマはなかなか見ることが出来ない、新田の底力を見せつけられたレースだった。
次は9月の向日町記念準決勝、佐藤慎太郎は違反訓練のため京都のお寺に入った。脇本がケガで出場できなくなったためピンチヒッターで追加が来たのである。ライン先頭は北井、なかなか抜けなかったがこのレースではかろうじて差して1着を獲った。そして勝者インタビューが始まるのだが、敢闘門から自転車に乗ったら座禅のポーズをしながら入場、早くも観客の心を掴んだのだった。慎太郎の話術は上手い、観客もみんな笑顔になりお決まりのコールも盛大に盛り上がったのである。選手でありながらまさにエンターテイナー、私も慎太郎のインタビューはいつも楽しみにしている。　　　　　　　　　
以上が私からの今年のベストレースになる、みんなそれぞれのベストレースがあると思うが、その基準や感じ方は様々、グランプリも何かドラマチックな展開を期待してしまう、そして来年も選手には魅せるレースをしてほしいと思うのであった。
終