最近とみにもの忘れの度合が増した。
アルバム何枚も持っている歌手の名前が出てこない。映画の中の名優の顔を見ながら名前が浮かばないのがもどかしい。なんていうのは序の口で、数分前に思いたってやろうとしたことが、ひとつ違う行為がはさまるとわからなくなったりする。漢字が書けなくなったのは仕方ないとして、普段よく使っているはずの形容詞がすんなり出ずに遅滞すると、ちょっと大仰だけど暗鬱とした気分になる。
そんなざまがつづくと、至極あたりまえだと思っていた過去の出来事すらあやしく感じたりし、気が塞ぐ。
よく俺は、私が競輪に淫していた時代、などと恥ずかしげもなく書くが、淫するほど競輪に、ほんとうにのめり込んだのかい? 今さら自問自答など無理で、真偽は遠い霧の中だが、今よりはちょっとだけ博打度の高い――といっても四円パチンコと一円パチンコぐらいの違いかな――競輪はしていたか。
梅雨の晴れ間に都内をうろうろ。古本屋をのぞいたり珈琲を飲んだりレコード屋をめぐったり。それでも前売りで買ったレースの発送時間近くになると、落ち着ける場所――公園のベンチとかスタバの前とかコンビニの駐車場とか――を探して携帯電話を鞄から取りだす。横画面して観る。良い展開になると、声を出すかわりに体をよじっちゃったりして。誰が見ているわけでもないのに居住まいを正すおのれが変におかしい。
もう好き嫌いの問題ではなくなった。
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