松山のウィナーズ・カップは武田豊樹の優勝で幕を閉じた。テレビで観戦したであろう卒業間近の競輪学校の生徒たちは、憧れのスターの雄姿をどんな思いで見たことだろう。
競輪とオートレースとパチンコが飯より好きな先輩が居た。俺より十年上のはずだから生きていれば今年は古希の祝いだったのか。そのI先輩曰く――競輪学校の卒業記念レースには宝の山が埋まっている――。在校成績上位やゴールデンキャップには目もくれず、スターの原石を発掘するべく、年に二回(昔は半年ごとに新人選手がデビューした)の修善寺出張を楽しみにしていた。
どうしても学校時代の数字が人気を左右するデビューまもない新人たちの競走を、Iさんは「現場」で下した独自の評価を信じ、無印からでもドンと車券を買っていたっけ――。
駄目記者の典型である俺は一度も卒業記念を取材したことがない。それなのにデビューしたての新人を一二度見ただけで、この選手は強くなる・天性の競走センスなどと吹いたりするのだが、見立てはあまり芳しくない。
チャレンジ階層が新設され、新人全員一律そこからデビューすることとなり、俺がある現役選手に――バンバン9連勝特進が生れるでしょう――なる持論をむけた。するとベテランのその選手に、プロはそんなに甘くはない・しかも新人選手のレベルは瞭かに下がっている。と真っ向から否定された苦い記憶がある(実際ベテランから修正された人数の特別昇班(A級3班→A級2班)がいいとこだった)。
静岡県まで出向かなくともインターネットで卒業記念レースが見られる時代になったのにもかかわらず、俺は変わらず熱心ではない。
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