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夢は枯野を~小倉競輪祭決勝

2023/11/25 23:26 閲覧数(555)
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 作家の伊集院静さんが亡くなった。
 私は一度だけ、小心を鼓舞して、競輪場の記者席に居た氏に、話し掛けた事がある。氏が『映画芸術』誌に寄稿した、高木功(作家・脚本家・個人)の文学賞受賞を祝する文章を読み感激した旨を伝えた。もっと上手く書ければよかったのですが――。えも言われぬ氏の声音の響きと、そのたたずまいを忘れる事はない。
 氏の『夢は枯れ野を――競輪躁鬱旅行――』を何度読み返したことだろう。ある時期は旅打ちの必携書でもあった。今はもうない琵琶湖競輪場の車券売場で伊集院さんを目撃した事がある。高松宮記念杯がまだ高松宮杯だった頃の琵琶湖である。あのとき一心不乱に車券を買っていた人が逝ってしまうなんて、妙に不思議で、釈然としない心持ちが起こる。
 合掌。
 因みに、本コーナーのタイトル「競輪は軀に悪い」は、生前の高木功が映画芸術編集長の荒井晴彦に、「次のエッセイのタイトル、人性はからだに悪い。こんなのどうでしょう?」と聞き、荒井が上手いなと感心したという話を読み、頂戴した次第である。
【小倉競輪祭決勝】その一、取掛り。松井宏佑の番手から深谷知広なんて考えていたら深谷-松井だと言う。深谷の番手から松井と考え直せるかどうか。あっと驚く太田海也の優勝でグランプリは松浦悠士の優勝。面白いストーリィだけどやっぱり太田にはまだ早い。準決の松浦の「仕事」を見ちゃうと余計決勝は松浦と思いたくもなる。深谷・対・太田の叩き合いなら強烈ハイピッチ。更にその上を脇本雄太の超速捲り。私の好物の競輪である。
 優勝は脇本、松浦、松井の三人の内から。
 その二、消去法。南修二はひいきの選手だ。先月の親王牌の決勝では古性優作を抜いちゃう車券を無理むり買っていた。が、脇本の「超速」に付いてくのは中中に至難だ。眞杉匠の準決三着も北津留翼の準決三着も、意地の悪い言い方をすれば自分だけ届く捲り。あの走りを「ものさし」にすると単騎の決勝で三着以上はとれない? 深谷は強い。ヨコの捌きも苦にしなくなった。ただ深谷のことだ。番手の優勝=松井の優勝一義の仕掛けをしそうでならない。太田はいつか大レースを獲るだろう。近い将来に確定板を挙げるだろう。しかし最初の大舞台は――いくら世界の舞台で闘っていようとも――平常心ではいられない。数多の大物たちが初体験の特別競輪決勝で逃げつぶれるのを幾度も見てきた。ええとあとは……簗田一輝だ。初っ端の準決で八十四万の立役者ゆえ「予定数終了」(失礼容赦)かしら。
 その三、三連複なら一本。脇本雄太、松浦悠士、松井宏佑の三人が残った。というより無理矢理あとの六人を捨てた感じが強い。今年最後の特別競輪を三連複一本で買う? 別にかっこうわるくはないよねえ。今までやったことがないけど、この歳になって初体験は目出度い。わっはっはっは。笑う門には福来たる。三連複にも福来たる。お粗末。
 買い目は①②④の三連複――そろそろ引退かしら。

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