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漸次くずれる被虐~松阪記念決勝観戦記

2026/10/04 19:21 閲覧数(33)
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 杉浦侑吾はぶっ叩く気なぞなく、ブーメランとは言わないけれども、無理せず八番手に戻った。賢明なる人は、これが杉浦の型なのだと言うだろう。そう、同じような杉浦を幾度も見ているはずなのに、薄ぼんやりとバトルを希求した自分が悪い。赤板から思惑がはずれた私を嘲笑うようにレースは漸次くずれていった。郡司浩平の捲りを待っている場合じゃないと、浅井康太は内側を踏んで新山響平の番手までいった。二着で買っている浅井と三着で買っている阿部拓真の競りを見ながら、どういう結末を懇願すればよいのか正直わからなかったが、ほどなく浅井が競り負け下がっていったので、すぐに悩みは消えた。だんだんと、どんどんと、崩れゆく競走を見ゆるす被虐も嫌いではない、ってほざいている間にもう十月である。じきに寛仁親王牌がはじまる。
「ジンセイハ、ミジカーイ」、アルハンブラ宮殿を案内してくれた公式ガイド、スペイン人の自称カワサキさんが、名所旧跡を説明するたび、その都度むすびに、えも言われぬイントネーションで朗朗と響かせた。あの日から二十二年が過ぎているわけだけれど、もう二十二年なのか、まだ二十二年なのか、よく解らなくなってきた。

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