あぁ、もう六月だといきおいこむわけなどない。ちょっとした憂さ晴らしの運行でもない。負け戦の青柳靖起(佐賀・一一七期)を打とうときめたのは、在所成績六位・卒業記念レース優勝の彼を追っかけているわけでもなく、只只、いくらなんでも今日(岸和田・二日目・S級選抜)は勝てるだろう、曲がらんでしょう、という一概である(むろん押しの材料として昨日の予選が裸逃げとツキなしだったこともすこしは勘定に入れた)。
青柳から筋一本で最終オッズは三四〇円、先行一車同然だし、真っ先に嫌う処でもあり、エイヤっと飛びこむ処でもあるが、スッと、割と簡単に、一番人気に手が延びた。
赤板で青柳が押さえると前受けの選手は下げない。しばらく併走状態がつづき、今度は後方からもう一車あがって番手は三列、本線三番手の選手もしびれを切らして踏みあげ、隊列はばらばらに崩れた。青柳は五車身ちぎって独走、二着三着も四車身の差が開き、三連単の配当は六〇六〇円だった。
買った本命対抗の対抗が挟まれ後退してゆく様を見るのはいつでもせつないものだが、本線を買い◎から大抜けという競輪の後口は、何んのかんのと、わるくないものだ。と記せば強がりにも聞こえようが、三百四十円が儚く脆く壊れていくのを、ハッハッハと、自嘲気味に見物する競輪もたまにはいい。
選手談話を摸すれば、一回やられてギャンブルに刺激が入ったみたい?
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