番手捲りを前提の私の予想は零点だけど、九人の選手はある程度、北井佑季-郡司浩平-佐藤慎太郎のブン駆けを前提に走っていたようにも見えた。それでも残った――眞杉匠を強引豪快に突っ張りながらもガマンした――北井が強い。それでも残した――計ったような前残しで魅せた――郡司が凄い。
決勝が終わった瞬間、いつぞやの郡司の外競りを思い出した。といっても場所も相手も忘れている。ただ、後方から追い上げた郡司が外から好位(番手だったか、中団だったか、自力-自力の並びを割ったのか……)をビシッと決めた場面が突然、私の頭の中に降りて来たのだ。どこだったかなあ。
郡司のマークの技術うんぬんを述べたいのではない。
声を大にして言いたいのは、強烈にピッチが上がった状況での郡司の番手回りはまさに自由自在、まるで変速ギヤを使っているように《空ける・踏む・残す》の細かい加速チェンジをやってのける。ま、超一流には総じて言えることでもあるのだろうけど。
まるきり方向違いの車券を買っておいて言うのも何だけど、郡司から北井の残りを打っていた人はさぞかし興奮したことでしょう。「郡司、残せるぞ、残せ!」「北井ガマンがまん!」――いい声が出たことでしょう。うらましい限りである。
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