あたりまえだが、朝昼晩競輪グランプリのことを考えているわけでない。
〽もうーいくつねるとーグランプリー、そんな替え歌をふと口ずさんでいる、などということもない。
が、この時季になると、ふと、グランプリの車券を考えるとまでにはいたらぬとも、ちらかった頭のなかを、ちょっとずつ整頓してゆく《おもむき》になるのは、何十年もくりかえしてきたことだ。
ラインのかたまり自体はあらかたはっきりしている。が、びしっと並びがわかっているわけではない。古性優作は一人、郡司浩平に北勢だが、佐藤慎太郎と守澤太志の前後は? もう守澤が前かなぁともおもうが、ま、どう並んでも郡司の競輪が変わることはない。清水裕友と松浦悠士の前後はわからない。わからないけど、この二人の連携は基本番手から。大舞台のグランプリともなれば《買うなら番手》とさらにおもいこみは顕著になろう。
関東トリオは吉田拓矢-宿口陽一-平原康多が今の競輪では自然だけど、平原が番手という選択肢もなくはないのかなあ。
先月、小倉競輪祭が終幕した翌日に記したおれの拙文を抄録する。
〈六月の高松宮記念杯はあっとおどろく宿口陽一の優勝、吉田拓矢-宿口の関東連携が功を奏したもので、吉田も二着にはいり初めての特別競輪の表彰台を経験した。特別競輪の二着三着は優勝への通過点、表彰台にのった選手の陣痛には気を向けねばならない。
十月の寛仁親王牌は平原康多の優勝で、なんとGⅠ制覇は四年ぶり、そんなにとっていなかったんだ。新山響平-新田祐大のうしろ菅田壱道が下手をうち、三四番手に吉田拓矢-平原がおさまった。新田の番手捲りは見え見えでも吉田は強引に仕かける。が、一車も出ない。と、その瞬間平原は内にはいり新田にスイッチ、そのまま一気に抜けだした。吉田を買っているひとは「もう一度いれてやれ!」平原の車券持ってるひとは「捨てて内!」そんなところだろうか。平原は吉田に「ひとつ借り」と記すは下衆の勘ぐり。
過日の小倉競輪祭の五日目、第十一レースの準決勝は、新山響平-渡邉一成がジャンすぎにたたいて先行、すこし遅れて吉田拓矢-平原康多-武藤龍生で終向を通過した。大きく車間をきった渡邉のテクニックも効いたが、吉田は冷静に直線勝負に賭け、いわゆる自分だけ届く三着で、翌日の初タイトルへとつながるのである。叱声を覚悟で述べれば、この準決には平原の吉田にむけた「配慮」を感じた。
この半年の平原康多、吉田拓矢、宿口陽一が織りなすストーリィの終章が年末のグランプリなのだ。と、こころ躍るのはもちろんなのだが、できすぎの物語をうたがう、捻くれもののおれも、またいる。》
吉田-宿口-平原の並びと吉田-平原-宿口の並びでは受ける印象がかなり異なる。対戦相手も同様ではなかろうか。もちろん、どちらも《平原を勝てせたい》が第一義と読むしかないけど、前者の並びはしゃにむに吉田と宿口がどんな展開をもひっくり返し平原、換言すると平原の二着がむずかくなる。後者のほうはわりとオーソドックスの並びなので。こちらなら平原-宿口がすこしだけ買いやすくなるのかなぁ。ただ、別線はどちらかというと後者並びのほうが組みしやすいような気もするけど……。万が一というか、いろんな展開に備えるというか、二段構え三段構え《けっして二段駆け三段駆けというわけではない。もちろんそれをも含むけど》で平原優勝にみちびく、吉田-宿口-平原はそんな並びといえるのではないか。
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