京王閣記念の準決二発目、地元の高橋大作が浅井康太とのデッド・ヒートを凌いで確定板を挙げた数分後、満面笑みの恩田繁雄さんが検車場から報告を送っていた。
もう二十年以上前になるのだろうか。まさしくその場所だ。俺は前検日の取材をしており、初日の特選は関東の自力選手に地元の恩田繁雄と高橋大作がマークする番組だった。恩田は生粋マーカー、高橋はまだ若いが自在スタイルだったと思う。先に番組を見た高橋が番手とコメントして、あとからそれを聞いた恩田がまだ回せない、オレが前だと云ったのだっか。昔の話だから記憶は怪しいが、そんなことがあった。恩田といえば京王閣の主だったからなァ――。
あのときの競輪記者は今やリタイヤ寸前で、あのときの高橋は地元の記念競輪で踏ん張り、あのときの恩田さんは解説者として活躍されている。あのとき三人がたしかに居た検車場の風景を懐かしくテレビ画面で見ている俺だ。
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