鈴木玄人が内をしつこくちょこちょこ衝くのは気になったけど、おおむね、打鐘~終審までは九から一の目も、一から三と四の目も、あり得る展開に思えた。むろん欲目もからんだ上での皮算用に近い。
最終二角。九番(新山響平)を視認しながらこりゃ無理だろうと半ばあきらめ、視線を前団に移すと同時に四番(佐々木眞也)-三番(山田庸平)の並びで仕掛けるのが見えた。気づいた一番(松浦悠士)が太田海也の番手から出る。ん? 出たんじゃじゃないか(おれの車券は)と一瞬よろこんだのも束の間、六番(池田良)が四番を頭と体でガツンともっていった。
愚生の予想は池田を軽視したものだった。“――松浦から太田を切っても池田良というわけにもいかず、なんとなーく単騎の選手に手が伸びるのだけど、賭す価値あるのは山田庸平と佐々木眞也の両名で――”。こんな素っ気ない文章で池田を切った。さらに白状すれば準決の池田三着の一番人気に助けられているにもかかわらず、軽々しく、数字づらだけで、まるで鼻歌まじりのように池田を切り、その軽はずみに切った池田のブロックに、私は(佐々木も山田も)やられたことになる。
やっぱり池田良はいい選手だなあ――とあらためて思った。
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