稲垣裕之(京都・86期)が竹内雄作(岐阜・99期)を突っぱった時、あぁ、稲垣逃げちゃうンだ、あるよなァ……。
昨晩(八月二日)の松坂競輪S級決勝の話である。
開催初日の、目標を庇いに庇いすぎの二着も稲垣らしければ、準決のよくぞ届いた二着も、律儀で真摯な稲垣だったから、後ろが他地区――番手は香川雄介(香川・79期)で三番手に柏野智典(岡山・88期)――でも、相手が徹底先行の竹内であろうとも、やるときはやるわけだ。
私の予想は、竹内-金子貴史(愛知・75期)-松崎貴久(富山・82期)の中部を単騎の吉永好宏(広島・80期)に分断してもらい稲垣ラインのひと捲り(まったくの的はずれ)だが、稲垣が果敢に先行した途端――要は買った車券が半ば紙屑と化したその時――稲垣の競輪に感情移入ししまうわけだから人間とは可笑しなものだ。
香川-柏野のズブズブから三着に穴党お薦めの松崎が又々私の神経を刺激する。
三十分後。無性にヴェルベッド・アンダーグラウンドが聴きたくなった。理由はないけど稲垣の競輪とまったく無関係ではなさそうだ(松崎の今節三日間の曲者ぶりも同様)。
今日も朝から聴いている。
稲垣が逃げたら、ヴェルベッド・アンダーグラウンドを聴きたくなり、正体不明の澱に刺激された私は無性に車券が買いたい。
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