写判で負けて手近の椅子を蹴っ飛ばしたら某先輩に怒られた。俺がまだ三十代の頃の話だ。どうせヤラれるンなら大差で負けた方がよっぽどマシだとふて腐れる俺を、そうじゃないゾと先輩はたしなめた。全然話にならない車券を持っているより、負け方が惜しくて悔しいほどイイ勝負をさせて貰ったことになる。そんな与えられた時間と人生に感謝するぐらいじゃなきャ駄目だ。アツくなっていた俺はすぐには頷けなかったが、内心は先輩の達観に恐れ入っていた。
説諭された日から約一カ月が経った或る日。
俺の右隣で机がダンと叩かれた。某先輩だった。と同時に「届かないなら伸びてくンじゃねえ!――」の叱声。どうやら僅かに及ばず三着の選手を買っていたらしい。
俺は先輩のことがより好きになった。
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