そりゃないだろう、ちょっと持ってけば(ブロックすれば)止まるだろうに――!
誰かが無抵抗(に見える)の番手選手を詰っているが、「そんなこと」期待していない俺は冷静である。逆に俺も番手の「侠気」を願っていた場合は「同盟」を組んで怒りを唱えるのだろうが。
このような景は古今東西(ちょっと大仰か)の競輪場で繰り返されることで、「その競走」の是非は、確固たる競輪道(これも各々一致するものではなかろうが)に依るものというより、個々が購入した車券(そこに至った展開想定、乃至は走る九人に対する願望・期待・思いこみ)に大きく因するのは人情だろう。
記憶が朧気で正確ではないかもしれないが、某作家が週刊誌の連載コラム上にて、前記に似た競走(特別競走の決勝だったか、先行したラインの番手を廻った地元選手が別線をブロックできなかった・しなかったこと)に対し、あれは競輪じゃない――! と批判したことがあった。もちろん「我が意を得たり」と賛辞を呈した競輪ファンも大勢いたのだろうが、俺の輪友の某はアッサリ「奴(無様とされた番手選手)にブロックを期待するのが間違いなんだよ。競輪の掴み方が浅い――」と云い放った。
場所は吉祥寺の喫茶店だったか。あのときのえらく恰好よかった某を時折想い出す。
ま、クールを気どっている今朝の俺だが本来、ナニヤッテンダヨ! を連発する独善野次将軍の「流れ」を汲む人間であり、競輪場(場外車券場も競輪中継のテレビの前も携帯電話を掴みながらも含む)の自分勝手に怒っている(語弊容赦)人間がたまらなく好きだ。
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