岐阜記念「長良川鵜飼カップ」決勝は山崎芳仁が優勝、守澤太志の先行から番手の小松崎大地が村上義弘の捲りに併せて発進、小松崎後位の山崎も岡田征陽の切り込みを退けて最後は楽々抜け出した。

村上→林雄一は即席で岡田は単騎、九州は並んではいるものの自分が自分がであることを考えると、それぞれがそれぞれの役目をしっかり果たした東北勢から優勝者が出たのは必然のように思われる。

珍しく(笑)車券もバッチリ、おまけに締め切り間際に「村上の仕掛けに併せて小松崎が発進するのだから、村上が不発になった場合に後ろの林が…」と三連単⑥③⑤も買い足しておいたのがヒットになった。

岡田が普通に回ってきてくれれば大本線の⑥⑦③になりそうだったのが残念だが、⑥③⑤は押さえとはいえこの配当なら文句はない。

買い足すという行為はすでに迷いが生じているわけであって、たいていは被害を増大させるだけになるが、今回ばかりは冴えていた。

展開も概ね能書き通り、これ自体はシンプルなもので少し知っている方なら誰でも想定内のものであるが、やはり競輪というのは「な、俺が言った通りだろ」というのが一番気持ちがいいのであって、金銭的利益はもちろんだがこの快感には代えられない(笑)。

さて、今回「影の主役」となったのは大分両者、その並びが注目された。

昨年５月の別府記念では大塚健一郎が「１回だけ」と番手を回り、番手に強烈な拘りを持つ小野俊之が引いて折り合った。

その結果、菅原晃が逃げて地元勢に絶好の展開になったものの直線で大塚が必要以上に内を締めに行ったために中割りを敢行した小野共々落車、地元記念の決勝で恥を晒したこともあり、今回の同乗ではどのような並びになるのかが大変楽しみであった。

ちなみに両者の落車は小野が強引に中を割ったからという認識をされている方々も少なくないようだが、審議の対象になったのは大塚である。

今回の並びであるが、小野ファンの私としては北津留翼→大塚→小野だけは絶対にないと思っていたし、それだけはあってほしくなかった。

私の想定では北津留→小野→大塚か小野が全盛期によく連係した村上につけて北津留→大塚と村上→小野、あるいは北津留後位で競りまであるかと考えていたが、結局はご存じのとおり北津留→小野→大塚に落ち着いた。

実績では小野が圧倒しているが現在の得点は大塚のほうがだいぶ上、いかに私が小野ファンでも縦の脚では大塚に分があることぐらいは分かる。

どこからでも突っ込んできた往年の脚は見る影もなくハコ③を連発(笑)、二言目にはセッティングと言っているがいつになったら出るのか(笑)、車券も買いづらくなっているが、それでもこれまで小野が積み重ねてきたものを考えれば番手を主張するのは当然、小野の番手というのは最近多い「ただ２番目を回っている」という面々とは一線を画す。

準決勝でも最小限の動きで牛山貴広をビシッと止めて北津留とワンツー、大ギア化で縦の脚で勝負する選手ばかりになっているなかで「競輪」ができるのが小野なのである。

脚はなくなっても伝家の宝「頭」は健在(笑)、テレビのバラエティー番組で取り上げられたりもした。

この存在感、これは番手に拘ることで積み重ねてきたものであり、それを簡単に明け渡すわけにはいかない。

「１回だけと言ったのだから約束だ」「俺は競るときはちゃんと競ってきた」という小野のコメントはもっとも、大塚は本当に番手がほしいのなら小野と競るぐらいの覚悟が必要だと思う。

大塚は３番手からでも突っ込める脚があるのは事実だし、この一戦だけを考えると引くのは一見クレバーだが、番手の選手としてやっていくのであればそれではいけない場合もあるのではないだろうか。

結果はご存じのとおり、北津留が例によって持ち味を発揮して(笑)九州勢は後方に置かれる展開となった。

それでも小野が珍しく(笑)いい伸び、岡田が内に切り込んだのを追って林に得意の頭突きを食らわせたまではよかったが、岡田の落車に巻き込まれて小野も落車、後ろの大塚までまたも仲良く落車となった(笑)。

ある意味想定内の結末、大塚共々期待に応えたと言えなくもない(笑)。

本当に小野のいるレースは面白い。

なお当コラムでは「其の十七」でも小野について触れているので、好きな方はぜひご覧いただきたい。

09/24
小倉10RＳ級準決勝
[枠車 名 期県]
1①原田　研太朗 98徳○
2②和田　真久留 99神△
3③屋良　朝春　 94東
4④高橋　和也　 91愛
4⑤小川　勇介　 90福◎
5⑥良永　浩一　 86福
5⑦尾崎　剛　　 79埼
6⑧高城　信雄　 77兵
6⑨伏見　俊昭　 75島▲

並び
②９ ③７ ④８ ①５６

初日特選で（別線だが）ワンツーの①原田と⑤小川が並ぶ。

地元の小川には絶好の番組、ここはしっかり抜け出してくるだろう。

もちろん原田の残り目が本線だが、②和田→⑨伏見のラインも強力だ。

印は回らなかったが初日が強かった③屋良の捲りにも注意したい。

三連単
⑤→①②③⑨
②③⑨→⑤→①②③⑨