FAXで送られてきた某競輪場の選手コメント表を見て同僚が声を上げた。「地元のAに岡山のBがジカだって、そんなのありかい?」「これ書き間違いでしょう」「地元-地元に初日の特選からやる奴アいないだろう、しかもAに――」「――だよなァ」と会話が続いている。Aのヨコは誰もが認める全国区だ。
「いやそれもあるよ。だってAは岡山の某とかにへいちゃらで競るじゃない。二回? 三回? それがBとしてはやっぱり面白くないんだ。だからいつか俺がやり返そうと思ってた。たぶんそうだよ。時は来たれり――」俺は黙っていられなくなって言った。
「昔はよくあった。神奈川のドン、某の地元で埼玉の選手が競っちゃったんだ。そしたらその選手、どこ行っても神奈川の選手に競られてた。リベンジってやつだよ地域ぐるみで――」と、昔の記憶をちょい誇張して独り善がりの論を打つ。
こりゃ明日が楽しみだ。地元で競られるAなんて考えられないもん。おっかねえぞー。すげえ競りが見られるな、きっと――。俺がブツブツ続けているとFAXの受信音が鳴った。
「訂正です! BはAの後ろ。地元勢を盛り立てたいと注釈も入ってます」と誰かが読み上げた。一瞬室内が妙な空気になり数人が笑ったが、俺は不機嫌に黙るしかない。
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