某日午前の喫茶店――。
ラックから新聞と週刊誌をとった男が四人席の一角に座り、ジンジャーライスのご飯大盛りを注文した。年の頃は還暦ぐらい、立派な体格で色黒、いかにも外仕事という風体だ。ほどなく七十はすぎているであろう白髪の老人が合流、おれは飲み物だけでいいや、アイスコーヒー。聞いた色黒がママさんにオーダーを通した。何となく顔と声に憶えがある。川口オート仲間の二人じゃなかったかしら。
「昨日も地震あったなァ」
「ああ多いよ最近」
「隕石だっておまえ、地球と月の半分ぐらいの距離でよう……」
「おれは天気予報ぐらいしか見ないからニュースは――」
「ディープインパクト――」(おお、やっとギャンブルの話かとおもいきや……)
「ありゃおもしろかった」(映画の話かァ)
「このあいだ『インディペンデンス・デイ』の続編中古で売ってたから見たら、だめだなァ、あれは――」
「……」
「食後に何か飲まねえのか」
「コーヒーはセブンイレブンでいいのよ、おれは」
「おれはアイスコーヒーもう一杯」
またもや色黒がママさんに伝えた。
「竹内まりやと森山良子のCDも買ったけどラジカセがぼろくて音が悪い」
「そうか――」
「ヤマダでいいの買わなきゃな。まりやちゃんのウェストコーストのCDがほしいンだけど、ホームセンターじゃ売ってない。あとポール・アンカ。ジャンクじゃないやつ――」(ジャンク――!)
と、いきなり、♪パァッ!パァッ!ピィッ!ピィッ!――と色黒の携帯の着信音がまあまあの音量で店内に鳴った。短い通話が終り色黒が「Yからだよ――」というと年配は、「やつァまだ生きてたのか」と返した。
愉しいかな一日のはじまり――。
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