みっともなくていけねぇぜ――、高倉健のドスの効いた声でいわれるとたまらない。
映画『青春の蹉跌』で萩原健一が森本レオにむかって吐いたのは、みっともなくていけねぇな――、だったか。
今じゃあまり使われなくなった昭和の劇の常套句が口癖の先輩が居た。先輩の場合は、みっともねぇやァ――。「ねぇやァ――」の微妙なイントネーションになんともいえない風情があった。
五日前(七月二日)の川崎競輪最終日、第十二競走のA級決勝は、山田雄大(埼玉)-寺沼伊織(東京)-鈴木謙二(東京)-大屋将大(埼玉)と折りあった埼京四人に対し、宗景祐樹(栃木)が三番手で競り、他線は斉藤健人(静岡)-奥原亨(神奈川)の南関両者という、あぁ、そういうン(これは別の先輩の口癖だ)――と呟きたくなる並びだった。面白くもあり、買いやすくもあり、そう簡単にはいかない、絞りにくい競輪にもおもえたが、結果は二車単も三連単も一番人気決着。展開は南関二車を出した山田がどっしりと捲りに構え(本人の気分は異なるかも知れないけど……)寺沼のハコ差し。律儀に? 競りつづける三番手両者と、更にその後ろも「これない」競走で、四車身遅れた三着には奥原の前残りとなった。
どう並ぼうと、どう走ろうと、競輪は車券が介在するプロ・スポーツであるから、好悪など定まらぬが常だが、気に染まぬ後味は残った。ま、この一番人気の画が薄ぼんやりとも浮かばない私の競輪が駄目だという証左でもあるのだが――。
映画『人情紙風船』のタイトルを頂戴して『人情紙競輪』と記してみる。
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