第十一レース。脇本雄太が捲り快勝したレースの最中におこったささいな一景が頭に残った。場所は赤板すぎの二角附近、ゆるゆるとピッチが上昇し始め、各線の思惑が交錯する時、脇本は外に被る佐々木悠葵にドンと体を当てた。まだ勝負どころではないから、すぐに下げるのであるが、妙にその行為に私は惹かれた
私は、幾度か、記した。――脇本は、そろそろ、競輪を覚えなきゃァいけない。プロの選手に対しなんという失礼な言い草だと𠮟られそうであるが、さらに、前述のほんのちょっとした突っ掛かりを、――脇本の競輪は一歩前進、などと独善を吐けば、あんた何もわかっちゃいない、と嘲笑されるのが落ちだろう。でも構いやしない。私の頭の中の競輪はもはや白昼夢であるから。ま、一歩前進の脇本を買うか買わないかはまた別の話で、次の白昼夢次第である。
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