競輪選手総員のピラミッド型ヒエラルヒーがあるとして、最上層に特別タイトルの常連たちが居るわけだが、その部屋の「住民」になることがいかに難関であるか、そして棲みつづけることの険しさ、更にそこからこぼれた落ちた選手が再び昇り戻ることの難儀さを俺はよく説く。また、初めての決勝でいきなりのタイトル奪取ももちろんあるが、まずは特別競輪の確定板・その先に光が見えてくるのが順道だろうという考えも持つ。
今年最初のGⅠ開催(別府競輪の実況アナウンサーが発した「今年最初のGⅠは平成最後のGⅠです」は秀逸だった)が終了、二着の佐藤慎太郎と三着の吉澤純平は俺の勝手な持論の該当者となるわけだが、記念競輪の決勝なみと表せば叱られそうだが、「常連」がごそり脱けた特別競輪決勝だったことには正直引っ掛かる。視点を変えると、そんな九人の闘いにもかかわらず、吉澤と佐藤の「間」を走りながら四着の武田豊樹には一抹以上の寂しさを感じた。
この十年の競輪グランプリで俺が買った車券の過半は武田豊樹の頭なのだから――。
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