旦那さん・・・
たまには独りで呑みたい夜もありますよね。
ちょいと俯き加減にひとりの先輩が声をかけてきた。
処は大宮。
己の人生の反省。
若かりし頃・あの頃の美談。
そして、己の現在の生き様と人間模様。
諸先輩の方々の有難きお言葉は俺にとっての良き教科書だ。
世間一般のお話として置き換えるのであれば『浮世離れにも程がある』と云うのが正解であろうが、それを云ってしまえば悪口になってしまう。
そうだなぁ、言い換えれば『粋な男達の集いの場』とでも例えた方が正解かもしれない。
私はねぇ、野球の審判を長年勤めておりましてねぇ・・・。
それがこれさ。
徐に懐から携帯電話を取り出し、その待ち受け画面がこれであった。
プロテクターを纏い、ホームに滑り込む走者に向け、高らかにアウトの宣言をする力強い握り拳。
痺れた!
心底痺れた!
御歳78歳。
孫の面倒に追われ、日々を費やすのは御免だ!
私は私の人生を紡ぎ、そして、終えたい。
とは云ったものの、散々好き放題させてもらったよ。
ウチのカカアには頭上がらんよ・・・。
浅黒い顔に深く刻まれた年輪と、その照れくさそうな横顔に男の色気を感じた。
旦那さん・・・。
己の生き方を貫くのは良い事だが、私みたいな生き方だけはしちゃいけないよ。
最後に良い事を教えてあげるよ。
その言葉を残して、大宮の街に消えて行った先輩。
また会える事を楽しみにしております。
家路に着く道程。
先輩の残した『良い事・・・』がループする。
鈴木竜士って強ぇな~ぁ!
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