遠山競輪研究所

三番手選手の突き抜け( 2019/09/26 )

通常、人気になるのはラインの先頭、または番手の選手です。三番手選手が突き抜けて1着になった場合は高配当となります。
では三番手選手が1着となる確率はどの程度あるのか? 三番手突き抜けの発生率が高い競輪場はどこか? 三番手突き抜けが多い選手は? 等を調べてみました。

「三番手選手」「三番手突き抜け」の定義と集計対象

ここでは「三番手選手」と「三番手突き抜け」について、次のように定義します。

三番手選手
Gambooの予想情報のページに記載されている「並び予想」上でラインの三番手位置にいる選手のこと。
三番手突き抜け
三番手選手が1着になった場合を「三番手突き抜け」とする。
したがって実際のレースでは自分で捲くって1着となった場合等も含む。

また以下に出てくる表中で過去レースの集計値を示していますが、集計の対象期間・対象レースは次のとおりです。

対象期間
2017年7月~2019年6月の2年間。
対象レース
対象期間に実施され、二人以上ゴールして2車単が成立したレースを集計の対象とする。
ただしガールズレースおよびエボリューションレースはラインがないため集計の対象外。
また当日欠場があるレースは「並び予想」とライン構成が違ってくるため集計の対象外。

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三番手突き抜けの出現率と平均配当

三番手突き抜けの出現率と、三番手突き抜け時の平均配当を下表にまとめました。比較のため全レースの平均配当も並記しました。
表中の「出現率1」は全レースに対する三番手選手が1着だったレースの比率、「出現率2」は細切れ戦等で「並び予想」上に三番手選手がいないレースを除いたレースに対する比率です。

やはり三番手選手が1着となるレースはかなり少ないのですが、7車立てのチャレンジ戦でも2車単の平均配当は万車券となるし、S級戦,A12班戦の3連単の平均配当は10万円越えの高配当となります。

注1)対象期間:2017年7月~2019年6月。

注2)「三番手から突き抜け」の対象レースは前述のとおりだが、「全レース平均配当」の集計にはエボリューションレースおよび当日欠場有りのレースも含む。

表1.「三番手からの突き抜け」 出現率と平均配当
クラス 全レース 三番手突き抜けのレース
平均配当 出現率1 出現率2 平均配当
2車単 3連単 2車単 3連単
S級戦 4,422円 32,067円 3.48% 3.79% 18,911円 144,476円
A12班戦 4,100円 26,852円 3.75% 4.05% 15,861円 111,519円
チャレンジ戦 2,458円 12,167円 2.28% 2.71% 11,436円 67,264円

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ラインの長さ別の三番手選手の勝率

ラインの長さ別に三番手選手の勝率を調べてみました。
表2.の「3,4,5車ライン数」は対象レースの「並び予想」に出現した3車ライン,4車ライン,5車ラインの数と、そのうち三番手突き抜けが発生した数です。
「三番手突き抜け数 ÷ ライン数」 を%表示したのが「三番手選手の勝率」です。
(前項の 出現率1,2 は対象レース数に対する三番手突き抜け発生の比率。 勝率 は三番手位置の選手数に対する三番手突き抜け発生の比率。)

4車ライン・5車ラインになると、3車ラインより三番手選手の勝率はグッと高くなるのですが、実レースで4車・5車ラインが現れることは大変少ないようです。

注1)対象期間:2017年7月~2019年6月。

注2)表中の3,4,5車ライン数は Gamboo「並び予想」上でカウントしたもの。
(例えば表中の 「S級戦の3車ライン数  395 / 19,796 」は S級戦対象レースの「並び予想」に出現した3車ラインは合計で 19,796個あり、そのうち3番手選手が1着になったのは 395回だったということ)

注3)対象期間に6車以上のラインは発生していない。

表2.ライン長別の三番手選手勝率
クラス 対象
レース数
3,4,5車ライン数 (三番手突き抜け数 / ライン数) 三番手選手の勝率
3車ライン
○○●
4車ライン
○○●○
5車ライン
○○●○○
3車ライン
○○●
4車ライン
○○●○
5車ライン
○○●○○
S級戦 12,482 395 / 19,796 38 / 712 1 / 16 2.00% 5.34% 6.25%
A12班戦 19,848 596 / 30,997 146 / 2,447 2 / 56 1.92% 5.97% 3.57%
チャレンジ戦 10,506 190 / 10,500 50 / 964 0 / 0 1.81% 5.19% ---

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三番手突き抜け時の2着選手の位置

三番手選手が1着に突き抜けた時の2着選手の位置を調べてみました。

2着選手が同ラインである確率は チャレンジ戦 > A12班戦 > S級戦 の順で高いのですが、どのクラスでも「ライン違い」より「同ライン決着」のほうが確率が高いようです。
また、どのクラスでも三番手選手が1着時には 同ラインでの「三番手 → 二番手」でワンツーとなる確率が最も高いのですが、チャレンジ戦では「三番手 → ライン先頭」も同程度の確率があります。

注1)対象期間:2017年7月~2019年6月。

表3.三番手突き抜け時の2着選手の位置
クラス 同ライン 他ライン
ライン先頭
○●
二番手
四番手
○○●
S級戦 16.17% 37.36% 1.59% 55.13% 44.87%
A12班戦 17.94% 40.51% 1.74% 60.16% 39.84%
チャレンジ戦 30.83% 31.25% 3.33% 65.42% 34.58%

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競輪場ランキング

三番手選手が1着および2連対,3連対に絡んだレースの比率を競輪場毎に集計し、バンク長別にランキング形式で下表に並べました。
(下表の「三番手選手の絡み率の1着」は、前出の 表1 の「出現率2」と同じ計算方法です。)

400バンクの1位は高松競輪場(1着の比率5.65%)でした。最下位の31位は 佐世保競輪場(1着の比率2.51%)で、1着の比率は高松競輪場の半分にも満たない値です。ドームで高速バンクの小倉競輪場もやはり低い位置(27位)でした。
33バンクでは1着の三番手比率は伊東競輪場が抜けて高いのですが、それでも3.55%でした。ドームの前橋競輪場はやはり低いのですが(6位)、最下位は防府競輪場で1着の比率1.43%しかなく、三番手は狙い難いバンクです。
500バンクの1位は千葉競輪場でしたが現在休止中で、今後はドームの板張り250バンクに変身予定です。

表4-4 にバンク長別の平均値を並べました。明らかにバンク長が長いほうが三番手選手の上位入着率は高く、500バンク平均の1着の比率(4.47%)は 33バンク平均(2.44%)の1.8倍となります。

表4-1 ~ 表4-3 には参考として直線長も記載しました。33バンクで1位の伊東競輪場は33バンクとしては直線が長く「なるほど」という感じですが、400バンクで直線最長の武雄競輪場はランキングの中程ですし、400バンク1位,2位の高松競輪場,京王閣競輪場は平均的な直線長です。直線長は三番手選手の突き抜けにはさほど関係してないようです。(400バンクでの直線長と1着率の相関係数は 0.19。)

注1)対象期間:2017年7月~2019年6月。

注2)対象クラス:S級戦,A12班戦,チャレンジ戦。

注3)三番手選手の絡み率
1着  --- 対象レースに対する三番手突き抜けレースの比率
2連対 --- 対象レースに対して、2着までに三番手選手が絡んだレースの比率
3連対 --- 対象レースに対して、3着までに三番手選手が絡んだレースの比率

表4-1.三番手突き抜け 競輪場ランキング 
400バンク
順位 場名 直線長 レース
三番手選手の絡み率
1着 2連対 3連対
1 高松 54.8m 743 5.65% 18.57% 41.99%
2 京王閣 51.5m 818 5.13% 16.01% 42.42%
3 青森 58.9m 1,081 4.81% 17.48% 42.83%
4 平塚 54.2m 963 4.78% 16.10% 39.04%
5 取手 54.8m 924 4.65% 15.80% 42.10%
6 松阪 61.5m 881 4.65% 12.37% 37.12%
7 静岡 56.4m 856 4.56% 16.94% 41.36%
8 弥彦 63.1m 978 4.50% 16.97% 43.35%
9 四日市 62.4m 903 4.21% 14.62% 39.65%
10 大垣 56.0m 953 4.20% 15.42% 41.13%
11 いわき平 62.7m 753 4.12% 15.01% 39.31%
12 小松島 55.5m 806 4.09% 16.25% 42.43%
13 向日町 47.3m 713 4.07% 14.31% 38.43%
14 和歌山 59.9m 863 4.06% 16.57% 39.98%
15 武雄 64.4m 913 4.05% 15.77% 42.28%
16 立川 58.0m 819 4.03% 15.51% 39.44%
17 松山 58.6m 928 3.99% 14.87% 42.35%
18 岐阜 59.3m 832 3.97% 15.26% 38.22%
19 福井 52.8m 768 3.91% 13.54% 38.02%
20 名古屋 58.8m 736 3.67% 13.72% 38.45%
21 玉野 47.9m 1,079 3.61% 14.55% 42.35%
22 西武園 47.6m 924 3.57% 12.88% 38.31%
23 久留米 50.7m 1,065 3.57% 13.24% 39.72%
24 函館 51.3m 965 3.42% 14.51% 39.90%
25 広島 57.9m 1,005 3.38% 13.33% 39.00%
26 豊橋 60.3m 875 3.20% 14.40% 41.37%
27 小倉 56.9m 1,797 2.95% 12.97% 37.01%
28 川崎 58.0m 1,007 2.78% 13.31% 40.91%
29 別府 59.9m 1,060 2.74% 11.70% 35.09%
30 岸和田 56.7m 923 2.60% 14.41% 40.09%
31 佐世保 40.2m 1,034 2.51% 11.12% 37.81%
表4-2.三番手突き抜け 競輪場ランキング 
33バンク
順位 場名 直線長 レース
三番手選手の絡み率
1着 2連対 3連対
1  伊東  46.6m 957 3.55% 12.96% 40.02%
2 小田原 36.1m 888 2.70% 14.30% 40.65%
3 富山 43.0m 875 2.63% 12.34% 36.34%
4 松戸 38.2m 991 2.62% 11.40% 36.93%
5 奈良 38.0m 1,133 2.12% 9.18% 34.60%
6 前橋 46.7m 1,016 1.97% 12.30% 37.80%
7 防府 42.5m 767 1.43% 10.17% 33.25%
表4-3.三番手突き抜け 競輪場ランキング 
500バンク
順位 場名 直線長 レース
三番手選手の絡み率
1着 2連対 3連対
1  千葉  60.0m 312 4.81% 18.27% 41.67%
2 大宮 66.7m 851 4.70% 17.51% 42.19%
3 高知 52.0m 1,073 4.38% 15.28% 38.49%
4 宇都宮 63.3m 876 4.22% 16.55% 39.84%
表4-4.バンク長別の平均値
バンク長 直線長 レース
三番手選手の絡み率
1着 2連対 3連対
33バンク計 41.6m 6,627 2.44% 11.75% 37.11%
400バンク計 56.1m 28,965 3.86% 14.65% 39.97%
 500バンク計  60.5m 3,112 4.47% 16.55% 40.20%
総 計 54.1m 38,704 3.66% 14.31% 39.50%

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三番手突き抜けの選手ランキング

過去2年間で三番手突き抜けが多かった選手のランキングです。
表中の 1着数,2着数,位置数は 下の 注4)のとおりです。ランキングは「1着数→1着数が同じ場合は2着数→1,2着数が同じ場合は位置数が少ないほう」の順番で順位付けしました。S級戦,A12班戦は30位まで、チャレンジ戦は20位まで記載しました。

注1)対象期間:2017年7月~2019年6月。

注2)S級戦,A12班戦,チャレンジ戦のクラス別で集計。

注3)現級班 --- 2019年9月13日現在の級班。

注4)1着数  --- Gambooの「並び予想」上の三番手で1着になった回数。
 2着数  --- Gambooの「並び予想」上の三番手で2着になった回数。
 位置数 --- Gambooの「並び予想」上の三番手に位置した回数。

表5-1.三番手突き抜け 選手ランキング 
S級戦
順位選手名府県現級班1着数2着数位置数
1吉永 好宏80広島S26338
2田村 真広83群馬S25468
3村上 博幸86京都SS5322
4笠松 信幸84愛知S141053
5勝瀬 卓也84神奈川S14740
6國村 洋80山口S14758
7佐藤 真一79東京S24670
8村田 雅一90兵庫S14426
9和田 圭92宮城S14337
10戸田 洋平92岡山S24344
11朝倉 佳弘90東京S14347
12舘 泰守80愛知S24163
13佐藤 愼太郎83福島S24168
14山崎 充央79東京S231058
15大西 健士88神奈川S23986
16三宅 裕武88三重A13770
17岩本 和也76石川S23538
18志村 太賀90山梨S13432
19山中 貴雄90高知S13433
20齊藤 竜也73神奈川S13436
21渡部 哲男84愛媛S13438
22江連 和洋76栃木S23326
23中村 昌弘81広島S23328
24川崎 健次88神奈川S23344
25森安 崇之84香川A13354
26大薗 宏71茨城S23362
27上田 国広89三重S23236
28大塚 英伸82静岡S13257
29坂口 晃輔95三重S13125
30坂本 晃輝81佐賀A13144
表5-2.三番手突き抜け 選手ランキング 
A12班戦
順位選手名府県現級班1着数2着数位置数
1林 明宏79高知A26380
2和泉田 喜一59千葉S25627
3武智 尚之70愛媛A15461
4米嶋 賢二77長崎A25252
5関 敬81栃木A25290
6中川 博文61福井A15131
7太田黒 大心74熊本A15139
8重 一徳57鹿児島A14858
9仲山 桂66熊本A14771
10笹川 竜治71新潟A24658
11新井 剛央86埼玉A14538
12内藤 敦80岡山A14417
13植草 亮介90千葉A14441
14菊池 崇訓85栃木A24451
15伊藤 一貴72栃木A14350
16西島 貢司64熊本A24356
17川上 修平99高知A24221
18後藤 純平78福井A24274
19黒田 充73栃木A24287
20藤原 義晴88岩手A24038
21甲斐 康昭89群馬A23737
22中石 昌芳81広島S23745
23吉川 裕二86大分A13749
24吉野 猛74愛知A13762
25齋藤 勝53広島A23785
26土井 勲82岡山A13640
27坂口 卓士88福島A13643
28渡邉 藤男57栃木A13645
29林 邦彦73千葉A33651
30佐々木 浩三50佐賀A23663
表5-3.三番手突き抜け 選手ランキング 
チャレンジ戦
順位選手名府県現級班1着数2着数位置数
1上原 直樹75岡山A37433
2長谷川 辰徳89埼玉A34549
3栗田 弘一60群馬A34551
4齋藤 和也78福島A34323
5黒瀬 浩一57静岡A34329
6竹野 行登64鹿児島A33742
7田前 義守61三重A33446
8高橋 由記88群馬A33335
9堀 検正81熊本A33352
10松尾 誠80長崎A33355
11藤本 辰次62三重A33224
12野田 英吾75群馬A33242
13濱田 昭一郎67鹿児島A33146
14塩満 賢治58鹿児島A33011
15江口 晃正75長崎A33016
16岡田 篤79和歌山A32944
17古屋 孝一62愛知A32840
18竹内 真一89福岡A32642
19大崎 世志人76高知A32543
20郷坪 和博70神奈川A32550
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