遠山競輪研究所
外国人専用車券戦術(ガールズ編)( 2019/04/25 )
前回の男子編に続いて、今回はガールズ戦の短期登録選手について狙い方を探ってみます。
今年は来日3回目となるロリーヌ・ファンリーセン(オランダ)とナターシャ・ハンセン(ニュージーランド)、来日2回目となるマチルド・グロ(フランス)、そして初来日となるマダリン・ゴドビー(アメリカ)の4選手が参戦します。
世界選手権スプリント準Vのモートン選手が膝故障で来日中止となったのは残念ですが、外国人選手のスピードある走りは楽しみです。
2017年~2018年の短期登録選手成績
2017年および2018年の短期登録選手のガールズケイリン成績を下表に示します。
男子と違ってガールズでは日本のトップ選手が迎え撃つのですが、それでも短期登録選手の勝率・連対率はとても高い値です。
表中の「オッズ支持率」は2車単オッズにおける1着支持率(※1) の平均値です。レースの「勝率」と比較して高いほうの背景をピンクにしています。
成績が良い短期登録選手(2018年のでグレンデル、モートン、ハンセン、2017年のモートン,ファンリーセン,ボイノワ)の場合、「オッズ支持率」より「勝率」が高くなっています。つまり、強い短期登録選手を1着とした車券は 回収率的に有利となるようです。
※1 オッズにおける1着支持率は オッズ倍率からの換算値であるため若干の誤差を含みます。
2018年成績(平均競走得点が高い順にならべています)
選手名 | 国 名 | レース 数 | オッズ 支持率 | 勝 率 | 連対率 | 優勝 回数 | 平均競走 得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
デグレンデル | ベルギー | 13 | 78.6 | 92.3 | 100.0 | 3 | 57.53 |
モートン | オーストラ | 13 | 80.5 | 84.6 | 100.0 | 3 | 57.38 |
ハンセン | ニュージー | 15 | 72.3 | 80.0 | 100.0 | 3 | 56.93 |
ファンリーセン | オランダ | 13 | 62.1 | 61.5 | 76.9 | 0 | 56.30 |
グロ | フランス | 15 | 55.7 | 73.3 | 80.0 | 2 | 55.53 |
2017年成績(平均競走得点が高い順にならべています)
選手名 | 国 名 | レース 数 | オッズ 支持率 | 勝 率 | 連対率 | 優勝 回数 | 平均競走 得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
モートン | オーストラ | 12 | 73.9 | 91.7 | 100.0 | 4 | 57.16 |
ファンリーセン | オランダ | 12 | 55.0 | 66.7 | 91.7 | 2 | 56.50 |
ボイノワ | ロシア | 12 | 61.4 | 66.7 | 91.7 | 1 | 56.50 |
ハンセン | ニュージー | 12 | 32.5 | 25.0 | 66.7 | 0 | 54.33 |
短期登録選手出場レースの分析1(選手数別の成績)
2017~2018年の2年間で 短期登録選手が出場したレースについて、短期登録選手の人数別に 1→2着の内訳を調べてみました。
(注) 表中で 1文字表記の 「外」は 短期登録選手(外国人)のこと、「日」は日本人選手のことです。
ガールズ戦
2017~2018年の2年間で 短期登録選手が出場したレース 95個
レース内の 短期登録選手人数 | レース 数 | 1→2着の内訳 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
外→外 | 外→日 | 日→外 | 日→日 | 外→外 外→日 日→外 日→日 | ||
4 人 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
3 人 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
2 人 | 17 | 12 | 3 | 2 | 0 | 70.6% 17.6% 11.8 |
1 人 | 76 | ― | 67 | 5 | 4 | 88.2% 6.6 5.3 |
対象レース 95個のうち、
- ・短期登録選手が1着となったレースは 87個(91.2%)
- ・短期登録選手が連絡みしたレースは 91個(95.8%)
でした。 日本人選手でワンツーとなったのは わずか 4個だけです。
短期登録選手出場レースの分析2(力差別の成績)
短期登録選手と他選手との力差を表すパラメータとして、
G指数差1 = 短期登録選手(※2)と、その選手を除いてG指数最上位の選手とのG指数の差
(※2) 短期登録選手が複数出走の場合は G指数が上位の選手。
を定義し、G指数差1の大きさ別に 短期登録選手の オッズにおける1着支持率 及び 勝率,連対率を下表にまとめました。
(注) G指数差1 がプラスの場合は、短期登録選手のG指数が最上位で、値は次に高い選手とのG指数差。
G指数差1 がマイナスの場合は、G指数が最上位が日本人で、値はその選手と短期登録選手のG指数差。
「G指数差1」別の 短期登録選手のオッズ支持率 及び 勝率・連対率
対象: 2017~2018年の短期登録選手が出場した 95レース
G指数差1 (以上~未満) | 該当 レース数 | 1着数 | 2着数 | オッズ 支持率 | 勝率 | 連対率 | グラフ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
オッズ支持率 勝率 連対率 | |||||||
-4.0 ~ -2.0 | 6 | 2 | 1 | 40.9% | 33.3% | 50.0% | オッズ支持率 40.9% 勝率 33.3% 連対率 50% |
-2.0 ~ 0.0 | 8 | 6 | 1 | 60.4% | 75.0% | 87.5% | 60.4% 75.0% 87.5% |
0.0 ~ 2.0 | 29 | 22 | 6 | 67.6% | 75.9% | 96.6% | 67.6% 75.9% 96.5% |
2.0 ~ 4.0 | 24 | 21 | 3 | 79.2% | 87.5% | 100.0% | 79.2% 87.5% 100% |
4.0 ~ 6.0 | 16 | 14 | 2 | 86.8% | 87.5% | 100.0% | 86.8% 87.5% 100% |
6.0 ~ | 12 | 12 | 0 | 86.5% | 100.0% | 100.0% | 86.5% 100.0% |
G指数差1が -2.0 未満 の場合は勝率も低いですし、オッズ支持率が勝率を上回っており、短期登録選手からの車券はあまり旨味がないようです。
G指数差1が 4.0以上 の場合は、勝率は非常に高いのですが オッズ支持率も86%を超えており、的中率は高いが配当は相当低くなります。
G指数差1が -2.0 ~ 4.0 の場合は、オッズ支持率に対して勝率が上回っていて その差も大きく、短期登録選手からの車券は回収率的に有利となりそうです。
今年は世界トップレベルの実力者モートン選手が来日中止となったため、また 日本人選手のレベルも上がってきており、G指数差1が大きいレースが減り、 -2.0 ~ 4.0 程度の車券的に旨味のあるレースの割合が多くなるのではないでしょうか?
G指数差1が -2.0 ~ 4.0 の場合に 短期登録選手を頭とする車券は回収率的に有利。
を上分析の結論とし、次項から この条件下のレースについてもう少し分析を進めていきます。
短期登録選手出場レースの分析3(連下分析)
次に、「G指数差1が-2.0 ~ 4.0」の条件下で短期登録選手が1着だった場合について、2着選手を力順位との関係で調べてみました。
他選手のG指数順位 = 該当の短期登録選手を除いた残り6人でのG指数の高さの順位
と定義し、順位別の2着率を集計して下表にまとめました。
G指数順位別の2着比率
2017~2018年の短期登録選手が出走し、短期登録選手のG指数差1が -2.0 ~ 4.0 の 61個が該当レースで、うち短期登録選手が1着だった49レースが2着比率の集計対象。
他選手の G指数順位 | 2着数 | 2着比率 | 2車単 平均オッズ(※3) | 理論回収率(※4) | グラフ(2着比率) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 35 | 71.43 | 1.78 | 102.3 | 71.4% |
2 | 8 | 16.33 | 6.70 | 87.9 | 16.3% |
3 | 5 | 10.20 | 14.90 | 122.1 | 10.2% |
4 | 1 | 2.04 | 28.71 | 47.1 | 2.0% |
5 | 0 | 0.00 | 62.35 | 0.0 | 0.0% |
6 | 0 | 0.00 | 87.30 | 0.0 | 0.0% |
※3 平均オッズは、集計対象49レースの「短期登録選手→該当G指数順位選手」の2車単平均オッズです。(2着的中した場合のみの平均ではありません。)
※4 理論回収率は、「2着数x平均オッズ / 該当レース数(61個)」 で計算しています。(実際の回収率とは違います)
短期登録選手が出走するレースでは「強い外国人選手+対抗となる強い日本人選手(または2人目の外国人選手)+他の5選手」という番組のパターンが多く、他選手のG指数順位 1位の選手が2着に占める割合は7割を超えます。
2着比率がある程度高く 理論回収率が100%越え となる 他選手のG指数順位 1位と3位の2人を2着として、シミュレーションで2車単・3連単車券の回収率を求めてみます。
車券シミュレーション
2017~2018年で短期登録選手出走の95レースにおいて、
- 1着条件: G指数差1が -2.0 ~ 4.0 の短期登録選手
- 2着指定: 他選手のG指数順位が 1位と3位の選手
- 3着指定: 他選手のG指数順位が 1位~3位の選手
を条件とした 2車単よび3連単の車券購入シミュレーションの結果を下表に示します。
車券購入シミュレーション1対象: 2017~2018年の短期登録選手が出場した 95レース
車券種類 | 条件該当 レース数 | 平均購入 本数 | 的中数 | 的中 平均配当 | 的中率 | 回収率(※5) | 損益(※5) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2車単車券 | 61 | 2.0 | 40 | 275.5円 | 65.6% | 90.3% | -590円 |
3連単車券 | 61 | 4.0 | 33 | 657.6円 | 54.1% | 88.9% | -675円 |
※5 ここでの回収率・損益は 1レースの車券購入額を100円として計算しました。したがって購入本数が4本の場合は1車券の購入額は 25円とし、 100円未満も有りで計算しています。
なお以前の分析結果で、ガールズ戦においては 「内枠(1~3番車)は、外枠(4~7番車)に比べて2着率が高い」ということが分かっています。
(2018年の分析記事5「ガールズケイリンの分析1」)
これを条件に取り入れて、2着選手を内枠(1~3番車)に限定してみます。(3着は内枠限定しません。)
- 1着条件: G指数差1が -2.0 ~ 4.0 の短期登録選手
- 2着条件: 他選手のG指数順位が 1位または3位で、かつ内枠(1~3番車)の選手
- 3着指定: 他選手のG指数順位が 1位~3位の選手
を条件とした 2車単よび3連単の車券購入シミュレーションの結果を下表に示します。
車券購入シミュレーション2対象: 2017~2018年の短期登録選手が出場した 95レース
車券種類 | 条件該当 レース数 | 平均購入 本数 | 的中数 | 的中 平均配当 | 的中率 | 回収率(※5) | 損益(※5) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2車単車券 | 44 | 1.16 | 22 | 338.6円 | 50.0% | 148.2% | 2,120円 |
3連単 | 44 | 2.32 | 19 | 809.0円 | 43.2% | 162.9% | 2,767円 |
※5 ここでの回収率・損益は 1レースの車券購入額を100円として計算しました。したがって購入本数が4本の場合は1車券の購入額は 25円とし、 100円未満も有りで計算しています。
回収率は一気に高くなり、損益も大きくプラスとなりました。
サンプルレース数が少ないため偶然の要素が大きく、今後も同様な回収率を得られるという訳にはいきませんが、短期登録選手出走レースの車券検討の参考になれば幸いです。