遠山競輪研究所

外国人専用車券戦術(男子編)( 2019/04/18 )

4月から短期登録選手(外国人選手)の参戦が始まりました。
マティエス・ブフリ選手(蘭)、テオ・ボス選手(蘭)、ジョセフ・トルーマン選手(英)、マシュー・グレーツァー選手(豪)は昨年に続く参戦ですし、シェーン・パーキンス選手(豪)、デニス・ドミトリエフ選手(露)は一昨年およびそれ以前に多数参戦、シュテファン・ボティシャー選手(独)も2014~2015年に参戦しており、今年はお馴染みの選手が集まりました。

今回は、2017年~2018年で短期登録選手が出走したレースを分析して、車券的に「短期登録選手の狙い方」を探ってみました。

2017年~2018年の短期登録選手成績

2017年および2018年の短期登録選手(男子)の競輪成績を下表に示します。
基本FⅠ開催への斡旋のため(※1) 競走得点はそれほどにはなりませんが、勝率・連対率はとても高い値です。
表中の「オッズ支持率」は2車単オッズにおける1着支持率(※2) の平均値です。レースの「勝率」と比較して高いほうの背景をピンクにしています。
成績が良い短期登録選手(2018年のグレーツァー、ブフリ、ボス、ウェブスター、2017年のボス,パーキンス,ブフリ)の場合、「オッズ支持率」より「勝率」が高くなっています。つまり、強い短期登録選手を1着とした車券は 回収率的に有利となるようです。

※1 グレードレースへの斡旋は「国際自転車トラック競技支援競輪(GⅢ)」のみ。

※2 オッズにおける1着支持率は オッズ倍率からの換算値であるため若干の誤差を含みます。

2018年成績(平均競走得点が高い順にならべています)
選手名国 名レース
オッズ
支持率
勝 率連対率優勝
回数
平均競走
得点
グレーツァーオースト4173.987.895.18112.63
ブフリオランダ3577.885.791.47112.28
ボスオランダ3575.280.094.36111.82
ウェブスターニュージ1970.173.779.03109.15
トルーマンイギリス3157.054.871.03108.64
バベクチェコ2754.040.755.61104.73
2017年成績(平均競走得点が高い順にならべています)
選手名国 名レース
オッズ
支持率
勝 率連対率優勝
回数
平均競走
得点
ボスオランダ3671.377.888.96111.88
パーキンスオースト4177.185.492.79111.63
ブフリオランダ3272.281.387.54111.22
ドミトリエフロシア3867.763.286.83110.78
ウェブスターニュージ2152.552.471.41107.47
バベクチェコ3745.946.062.21106.97

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短期登録選手出場レースの分析1

2017~2018年の2年間で 短期登録選手が出走したレースは 343個。うち、

  • ・短期登録選手が1着となったレースは 277個(80.8%)
  • ・短期登録選手が連絡みしたレースは 300個(87.5%)

でした。

短期登録選手が出場したレースについて、エボリューションレースと通常レースで、短期登録選手の人数別に 1→2着の内訳を調べてみました。

(注) 表中で 1文字表記の 「外」は 短期登録選手(外国人)のこと、「日」は日本人選手のことです。

エボリューションレース 17個
レース内の
短期登録選手人数
レース
1→2着の内訳
外→外外→日日→外日→日  外→外   外→日   日→外   日→日
2 人11000

100.0%

1 人161411

87.5%

6.3

6.3

通常レース 326個
レース内の
短期登録選手人数
レース
1→2着の内訳
外→外外→日日→外日→日  外→外   外→日   日→外   日→日
3 人65100

83.5%

16.7%

2 人37191026

51.4%

27.0%

5.4

16.2%

1 人2832272036

80.2%

7.1

12.7

全員が単騎で横の動きがない エボリューションレースでは、短期登録選手の勝率・連対率はとても高いです。

通常レースにおいて、短期登録選手が3人のレースは6個、2人のレースは43個でした。
短期登録選手が複数出走するレースでは 短期登録選手は必ず連携し、別線勝負となることはありませんでした。
「予選・準決勝」では 番組的に短期登録選手は別レースとされるので、短期登録選手が複数出走するのはほぼ「決勝レース」で日本人選手のレベルも高くなりますが、それでも半数以上のレースで短期登録選手のワンツー(外→外)が決まりました。

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短期登録選手出場レースの分析2

さて、ここから出現数が多い「通常レースで短期登録選手が1人のレース」に絞って、ライン構成を分類し、筋車券で決まる確率等を調べてみます。

短期登録選手が1人のレース 283個
短期登録選手の
ライン構成
レース
1→2着の内訳
外→日日→外日→日  外→日   日→外   日→日
外-日-日
の3車ライン
136122(89.7%)
[筋 73、筋違い 49]
8(5.9%)6( 4.4%)

89.7%

5.9

4.4

外-日
の2車ライン
12590(72.0%)
[筋 25、筋違い 65]
10(8.0%)25(20.0%)

72.0%

8.0

20.0%

短期登録選手は単騎2215(68.2%)2(9.1%)5(22.7%)

68.2%

9.1

22.7%

外-日-日 および 外-日 で連携したレースで、ライン先頭の短期登録選手が1着だったレースは 212個でしたが、うち 2着が追走する筋の選手で決まったのは 98個(46.2%)でした。
短期登録選手はダッシュがすごいので 続く日本人選手は千切れがちだというイメージがありますが、この46.2%という数値はどうでしょうか?
上データ採取期間(2017年5~11月 および 2018年4~10月)の日本人だけのS級戦レースで、ライン先頭の選手が1着だった場合に追走する筋の選手が2着となったのは 44.6% でした。
実はS級戦の日本人レースとの差はないようです。

短期登録選手が1人で後ろに日本人選手が続くラインが出来た場合に、短期登録選手→筋の日本人選手 の1→2着で決まる確率が結構高いことは分かったのですが、車券としての旨味はあるのでしょうか?
次項で車券購入のシミュレーションを行って確認してみます。

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短期登録選手→日本人選手の車券購入シミュレーション

2017~2018年の通常レースで、短期登録選手が1人で、”外-日-日”及び ”外-日”のラインができた 261レースについて、

  • ・筋の「外→日」の2車単1点買い
  • ・筋違いの「外→日」の2車単流し買い(※3)

をシミュレーションしてみると、回収率および損益(※4)は次表の値となります。

※3 オッズを基に払い戻し額が均等になるよう購入額を決定する回収額均買いのシミュレーション値です。
購入額均買いのシミュレーションでは、回収率はもっと低くなりました。

※4 ここでの損益は 1レースの車券購入額を100円として計算しました。
したがって流し車券の場合は、1車券の購入額は 8.31円等 10円未満や小数点以下も有りで計算しています。

車券購入シミュレーション値(2017~2018年の該当 261レース)
購入2車単車券購入レース数平均購入本数的中数的中率回収率損益(※4)
筋の 外→日 の1点買い  2611.09837.6%97.0%-780円
筋違いの 外→日 流し買い(※3)2617.011443.7%63.5%-9,519円

上のシミュレーション結果によると、回収率に大きな差があり、”筋違いの流し買い” より ”筋の1点買い” のほうが有利なようです。
今回の、全レースで単純に「外→日」の筋車券を購入とした場合でも、回収率は97.0%と相当高くなりました。

ここからは「外→日」の筋車券”に絞って、さらなる回収率アップを図ります。
最初の項目「2017年~2018年の短期登録選手成績」の調査で得られた ”強い短期登録選手を1着とした車券は 回収率的に有利となる”を車券購入条件に盛り込んでみます。
具体的には Gambooの予想情報として提供されているG指数を利用して、

「短期登録選手のG指数がそのレース内で最も高く、日本人選手のG指数最高値との差が Dg 点以上」

を車券の購入条件とし、Dg を 2~10点の範囲で変動させて2車単車券購入をシミュレーションしてみました。(下表)
この条件を付加することで、特に Dgを大きくしていくと、購入出来るレース数は減っていくのですが、その分 的中率がアップして回収率100円越えの条件を得ることが出来ました。

Dgをパラメータとした車券購入シミュレーション
対象期間:2017~2018年    対象レース数:261レース
外-日の
G指数差 Dg
購入
レース数
購入
レース率
的中数的中率回収率 損 益 
2.020980.1%7837.3%97.9%-450円
3.019875.9%7537.9%96.3%-740円
4.018169.4%7139.2%100.0%0円
5.016964.8%6940.8%101.2%210円
6.014957.1%6443.0%108.0%1,190円
7.012648.3%5442.9%109.5%1,200円
8.010640.6%4239.6%99.3%-70円
9.08633.0%3540.7%104.3%370円
10.06826.1%2638.2%106.8%460円

上表にのように、Dg=7.0 のときに回収率は109.5%となり、損益は+1,200円となりました。

もちろん これは過去レースのシミュレーション値であり、今後も同様な回収率を得られるという訳にはいきませんが、短期登録選手出走レースの車券検討の参考になると思います。

また 今回は2車単でシミュレーションしましたが、筋の「外→日」選手を1→2着とした3連単車券にも利用できるでしょう。

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参考データ(付録)

「さらに 筋の日本人選手の強さや、該当車券のオッズ値 等を購入条件に付加すればさらなる回収率アップを図れるのでは?」という向きもあるかと思います。
しかし そこまで条件付加すると、細分化され過ぎて対象レースが少なくなり、「偶然の結果」「机上の空論」「過剰適合」等々となりそうです。
関連するシミュレーション結果を記載しておきます。参考程度にご覧ください。

◆筋の日本人選手の強さ(G指数順位)別の車券購入シミュレーション

購入対象の短期登録選手をG指数1位の選手としているので、9車立てレースの場合、8人の日本人選手のG指数順位は 2~9 となります。
下表は、前項の表「Dgをパラメータとした車券購入シミュレーション」の Dg=7.0 の結果を筋の日本人選手のG指数順位別に分けて集計したものです。

筋の日本人選手のG指数順位別の車券購入シミュレーション
対象期間:2017~2018年    対象レース数:261レース
外-日の
G指数差 Dg
筋選手の
G指数順位
購入
レース数
購入
レース率
的中数的中率回収率 損 益 
724918.8%2244.9%90.4%-470円
732810.7%1450.0%91.4%-240円
74207.7%525.0%47.0%-1060円
7562.3%350.0%108.3%50円
7662.3%233.3%71.7%-170円
7741.5%250.0%312.5%850円
7883.1%337.5%275.0%1,400円
7951.9%360.0%268.0%840円
◆オッズ値を購入条件に付加した車券購入シミュレーション

Dg=7.0 の条件は付加したままで、さらに

「外→日」筋車券の2車単オッズが Ozx 倍以上であること

を購入条件に付加し、Ozx を1.3倍~10.0倍の範囲で変動させて2車単車券購入をシミュレーションしたものです。

オッズ値をパラメータとした車券購入シミュレーション
対象期間:2017~2018年    対象レース数:261レース
外-日の
G指数差 Dg
購入下限
オッズ値 Ozx
購入
レース数
購入
レース率
的中数的中率回収率 損 益 
7全購入12648.3%5442.9%109.5%1,200円
71.312447.5%5241.9%109.4%1,170円
71.511945.6%4941.2%110.6%1,260円
71.89536.4%3233.7%109.9%940円
72.07930.3%2430.4%113.3%1,050円
72.36826.1%2029.4%119.1%1,300円
72.65119.5%1223.5%121.8%1,110円
73.04216.1%921.4%127.6%1,160円
73.53312.6%927.3%162.4%2,060円
74.0228.4%627.3%195.9%2,110円
74.5176.5%529.4%230.0%2,210円
75.0145.4%535.7%279.3%2,510円
76.0114.2%436.4%303.6%2,240円
77.072.7%342.9%380.0%1,960円
78.041.5%125.0%305.0%820円
710.020.8%150.0%610.0%1,020円

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