明日からいよいよ競輪祭がやってくる。
いつもだったら、少し高揚した気持ちを抱えながら過ごしていたような気がするけど…

もう、自分は第一線ではない。

明らかに去年までのプレッシャーとは違う感覚で、この感覚がちょっと寂しくて、とても嬉しい、複雑な心境。

5年くらい前から、ずっと
競輪祭は大村さんが担当するべきだと思っていた。

もう、僕は実況に特化したアナウンサーではないし、小倉のナイターの９車立ては、僕の担当ではない。

小倉でS級の選手たちの走りをずっと喋ってるアナウンサーが担当するのがスジのような気がずっとしていて、大きなところだけ、偉そうに部下を差し置いてシャシャリ出るような社長にはなりたくないとも思っていた。

それと、もう自分には伸びしろがない。

実況をやりはじめて２２年。
ほんとにどうやったら、選手のカッコよさを伝えることができるのか？

こればっかり考えながら喋っていた。

やりはじめた最初の頃は
やっぱり自分をカッコよく見せたいがあまり、エエ言葉使ったろ〜、とか
ここで、このフレーズをバシッと言えたらめちゃ気持ちええやん

みたいなスケベ心がどうしてもついて回り、レースより、選手より
自分を見てー！

という気持ちが勝っていた。

だけど、ある時
それってめっちゃダサいやん…と思いはじめました。

競輪の売り上げは、当たり前やけど
発売中の間だけ。

締め切ったあと、レース中は
車券を買うことはできません。

だから、いくら実況が頑張ったとしても
売り上げが100円も上がらない

そんな中で、危機的な状況にあった
競輪界で何ができるんやろ？

実況というポジションで
何ができるんやろ？
と考えはじめた時に

実況でできるのは？
直接的な売り上げには貢献できないかもしれないけど

選手をカッコよく見せて、そのレースをみた人が、少しでも競輪って面白いなぁって思ってもらえるようなしゃべりをすること。

自分をカッコよく見せることでは、ない。

という思いに至りました。

それから15年。
何度も自分のしゃべりをチェックしては
同じフレーズを使い過ぎていないか？

きちんと後方の選手でもカッコいい動きは目で追えて言葉にできているのか？

繰り返し繰り返しやってきました。

でも、もう
あるとき、きっとこれ以上
うまくなることは無理やろなぁ

ってのがあって…

それなら、後進に道を譲るべきやろなぁってのもありました。

僕はありがたいことに
地上波でグランプリもしゃべらせてもらったし、岸和田ではダービーもやらせてもらいました。

村上義弘選手の初タイトル、全日本選抜も…　

あの時の捲り追い込みは凄かったし
武田豊樹選手と加藤慎平選手の大接戦のダービーも忘れられない思い出です。

何より、あんな己に厳しい
村上義弘選手に
「橋本さんの実況、オレ好きですよ」

って言ってもらえたのは
何よりの宝物です。

あと、今年
グランプリの賞金がボーダーの
山田英明選手

おととしも同じような状況で競輪祭を迎えたのですが、薄氷の二次予選で一着を決めて

「山田英明、夢を明日へ繋げました！」

みたいな実況をしたような記憶がありますが…

開催終わりの翌日
僕は佐世保の開催があって、特急に乗っていたら

めっちゃ素敵な美女に
「橋本さんですか？」

と声をかけられて

おいおい、逆ナンか！笑

なんて思ってたら…
「山田英明の妻です。ほんとにあの実況、鳥肌立ちました。ありがとうございました。」

と言って頂いて

こういうことが実況冥利に尽きるなぁ
なんて、ありがたいこともありました。

実況を引退する訳ではありませんが…
これが２２年やってきた一区切りということで…

思いをつらつらと書き綴ってみました。

ここから、また大村さんが
競輪祭で走る選手の皆さんを
よりカッコよく！みせてくれるでしょう。

みんなで応援してあげてください。

最後になりましたが
ほんとに、色々怒られたりすることもありましたが、これまで
私の拙い実況にお付き合い頂いたこと、心から感謝します！

明日から別の形で
しっかりと、競輪祭盛り上げさせて頂きます！

これからも
タンクトップハシモトを！笑
よろしくお願いいたします！

では！！