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二千万馬券の中山競馬場

2017/12/09 18:46 閲覧数(1034)
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 中山競馬場には二回か三回しか訪れたことがない。一度は車で、帰りはウンザリするような渋滞だった。あとは延々と駅から歩いた記憶があるが、あれは何駅だったのだろう。
 船橋法典駅からの地下道を歩くと「友情、愛情、ケイバ場!」の惹句を伴うポスターがあちらこちらに――。俺は「友情、愛情、競馬場!」じゃないのが気になってしょうがないのだが、「ケイバ」の片仮名がジワリと効き、「情・情・場」の韻を確かなものとする。
 入場門を通過してからスタンドまではけっこうあるのだが、そこは天下の中央競馬だ。渋谷恵比寿とおなじ歩く歩道が絶妙のタイミングで現れ、壁には歴代の名馬の写真を展示、こちらを飽かさない。人気アトラクションに長時間列をなす客をもてなすディズニーランド方式と言えなくもない?
 馬券を買い始めたのは第七競走。直線外を三番の馬が強襲しどよめきが起った。三番のランニングウインドは浦和で二勝、デビュー戦を大差で勝った馬なのだと、実況は興奮口調だ。浦和の馬かァ――。ちらりと反応した俺だが、手元の「エイト」紙はまるっきり無印だった。
 一丁前にパドックに移る。七レースの払い戻し金額が掲示され再びのどよめきだ。単勝が二万五千円余、俺は上から数字を視認してゆく。三連単は二百十万? 目を凝らすと二千百万余だった。おそらく中山競馬場に来たのは十数年ぶりだ。そんな珍客の俺が最初に買ったレースで二千万馬券が出るとは……、「持っている」というか「遊ばれてる」というか。
 大盛しか選べない550円の牛丼を搔きこみ、180円の珈琲を飲んで一息入れる。
 屋外のベンチに座ると隣には男女女の三人組、男性が女性二人にレクチャーしている。中央のオーロラヴィジョンに映る単勝オッズを元に、一番とか五番とかあと十番、十五番あたりをからめれば……。えっ十三頭しか出ていないわよ――。どうやらオッズは阪神競馬のやつで、何ともハチャメチャなのだが、笑ってしまいそうな平和な土曜日の午後である。
 競馬場は楽しいけど、ちょいと広すぎる――。
 やっぱり俺には競輪場が一番だ。
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