高松記念競輪は佐々木悠葵の優勝で幕を閉じた。
番手無風でいとも簡単に、と記せば語弊もあるが、そう見えてしまうのはもちろん眞杉匠が強いからにほかならない。まったくもって関東地区の選手にとっては頼もしい先行屋である。
眞杉-佐々木-吉澤純平-宿口陽一で組んだ関東勢は前三人のワンツースリーも、宿口だけ蚊帳の外の八着と明暗を分けた。残り一周手前の四角で稲川翔に一発もらい、最終四角では南修二に思いっきり寄せられた宿口は、見ていて痛々しくもあった。大阪の暴れん坊二人がぶち当たる「場所」がことごとく宿口のところというのが――むろん端から意図されたことではないにしても――ある意味競輪の厳しさを垣間見た気がした。
向こう正面を緩速で流す佐々木の横に並びかけた宿口が声をかける。後輩の記念初優勝を祝しているだろう。もちろん微笑ましい映像には違いないのだが、神妙で複雑な感情も私の中にはおこった。
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