ワンマン運転の地下鉄の車掌室は無人だから、最後尾の車両から遠慮なく流れる景色を観ることが出来る。暗闇の空間が時速五六十㌔で遠ざかる様はまるでタイム・トンネルだ。
先日、弔電を送る機会があったのだが、電報という通信手段が今やすっかり世間の片隅に追いやられている現状を知ることになった。昔は家庭に職場に必需品だった時刻表も、その役目の大半を他に譲っている。
前半A級・後半S級の三日制だった記念競輪が懐かしい。当時のS級一班と現在のS級一班は人数もレベルもステータスも違うし、S級全体の比較でも皮肉を発したくなる俺だから、薄まった(失礼容赦)オールS級に魅力があるとは到底思えない。
トンネルを遡った過去には、瞭かなる「S級一班の威厳」「S級選手の矜持」が在った――。
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