笑顔で引きあげてくる栃茨の3人を見ながら、どうしたことやら私の頭の中に昔の一景が不意によみがえった。それは昭和晩期(調べたら1985年だった)の一宮でおこなわれたオールスター競輪の決勝で、中野浩一(福岡)の捲りを高橋健二(愛知)が差し、弟の美行(愛知)まできれいについてきた(もしかしたらけっこう中野に迫ったのだったかしら? いや、ズブズブの心配はしなかったと思うけど、そこらの記憶はあやしい)、いわゆる地元劇場だった。当時は車券は枠単だけだから、あまり三着というものに感心がむかない性向だった私も、画に描いたようなワン・ツー・スリーを忘れないでいる。中野も高橋兄弟も笑っていたように思うのは、吉田拓矢や眞杉匠や金子幸央の笑顔に触発されたゆえだろう、おそらく、きっと。
眞杉が叩き返すと吉田も金子もしっかり追ってほぼ一本棒状態。吉田は車間を空けつつ後方の視認を怠らない。計七回ぐらい念入りに確認してからスッと差した。金子も直線の半ばで一度後ろを見てから3番めのコースを目一杯踏んで3着に流れ込んだ。最近はこういう、もっとも競輪らしいワン・ツー・スリーを見る機会が減ったこともあり、本日の決勝は私にとって一服の清涼剤のように効いた。と同時に、金子幸央から吉田拓矢、吉田拓矢から宿口陽一、ねじくれた車券ばかりに目がゆく視界の薄汚れに気づかされるのであった。
附記。地元両者には悪いけど、第1回平原康多カップにとって、もっともふさわしい結末であったと私は強く思う。
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