ギャンブルに過度の思い込みは禁物、他方の認識が甘くなる、おろそかになる。
と、阿佐田哲也が書いている、私淑する某先輩も言っていた。
が、すぎたる思い込みもまた、競輪の醍醐味ではある。
そんなたわごとを吐きながら、相も変わらず、的はずれの、誰もが考えそうで、誰もがもう疑っている思い込みで、車券を買うのが私は好きだ。
今回の向日町記念、岡崎智哉-稲垣裕之の番組が四日中三度組まれた。
初日は岡崎が一周以上逃げて稲垣の寸チョン、きれいに二車単230円一番人気が決まった。
ともに二次予選を突破できずに敗者戦にまわり三日目、岡崎-稲垣は車を引けずに終始三四番手の内側で併走状態、310円の一番人気にはこたえられず四着五着の結果に終わった。
最終日も一緒の番組だと知ったとき「三回目かい」とつぶやいた。初日は岡崎が逃げてきれいにワンツー、次が両者でイン詰まり、稲垣の地元、最終日……いつもの「初心者レベル」の思い込みの画が浮かびそうなものだが、なかなかはっきりと像をむすばない。四走中三度一緒の番組が小生の想像力をかき立てることはなく。何も買わず見ていた。
決勝は脇本雄太が終審線~終向線と二本引っかけての逃げ切り圧勝。稲川翔がぴたりと流れ込んだ。昨日記した私の拙稿はまるまる一周ずれていた、遅れていた。「終向線を取らない捲り」「最新型の必殺技」等々、並べた私の御託は気持ち良いくらいにひっくり返された。うしろ攻めからのカマシ逃げは脇本の元来の必殺技である。と記せば「お前いいかげにせい!」だろうが、別線たちが「そのかたち」にあえてしたのもまた競輪であろう。
買っている車券がまるで圏外となった一周~半周~四角、ぼうっと見ていたがなぜか直線、脇本しっかりガマンしろよ! と心奥で響かせた。別に稲川に恨みなどない。ただ、こうなったら、脇本の逃げ切りで終幕してほしかった。ま、私が力むことなぞ必要なかったが――。
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