昨日9月3日は、オートレース解説、Gambooコラムで御馴染みDJトミーさんの誕生日でした。

トミーさん、御誕生日おめでとうございます。

トミーさんとは、四年前の西武園競輪でお逢いさせて頂いてから幾度となく、西武園、大宮、松戸と競輪観戦を御一緒させて貰っている。

毎回、僕の負けた愚痴を長々聞いてくれた上に呑み代を御馳走になり頭が上がらない。
酸いも甘いも分かっている大人には、愚痴を言って良いと甘えがあるのだろう。

海老根恵太選手の記念優勝、井上嵩選手の特別昇級失敗、武藤龍生選手ホームバンク決勝で内に行く、最近では竹村勇祐選手の失格等々、挙げたら切りがない程鮮明に思い起こさせてくれる。

本場で観ることの大事さを改めて痛感させられる。

ありがとうございます。

中でも、マグロのぶつ定食奇跡の件は忘れられない。



松戸F2開催、記念併売の昼開催。
中盤戦の頃には諭吉が二人居なくなり、ジャリ銭に姿を替えた。
『当たりませんねぇ。』
『だから言ってんべ。そんなに熱くならないの。』
『あとはトミーさんに任せて僕帰りますね。』
『だからさ〜。よし。飯でも行こうか。気分を変えて。』

子供を嗜める様に場外の定食屋さんへ。

『小僧さん、好きなの頼んで。』
『トミーさん、ジャリ銭しかありません。』
『こんな事だろうと小僧さんのタネ銭も用意してるから、安心して食べなよ。』
『余りの負けに食欲が。』
『だからさ〜。』

結局、マグロのぶつ定食とスーパードライを御馳走になり全てを平らげる。

この時のスーパードライは一際苦く感じた。
この時点では、マグロのぶつが救いの神だとは夢にも思わなかった。

味噌汁の温かさとマグロのDHAとスーパードライの苦味で覚醒した。

準決勝前に塩っぱい二車単を当てる。
トミーさんは、トミー買いと云う名の流し三連複で大幅なプラスにしていた。

あと準決勝3個レース。

A級準決勝は何故か相性が良い。
A級準決勝だけなら、回収率100%を優に超えているのではと錯覚してしまう程好きなのだ。

まず、広く浅く買った三連単が引っ掛かる。

次のレースでは、松戸特有の人気ラインのワンツーに別線の三番手が切り替え突っ込んでくれる。
七千円台の配当を二枚獲る。
この時点でプラマイゼロ。

準決勝最終。
二番人気のラインワンツーに、三番人気のライン三番手が突っ込み素敵な配当を的中する。

『トミーさんやりましたよ。』
『さっきまでジャリ銭だったのに。やるね〜。』
『記念の最終も買って来ます。』
『だからさ〜。そんなに熱くならないの。サラッと買って呑みに行くよ。』
『行きましょう行きましょう。サラッと買って来ます。』

そのレースもサラッと当たっていた。
まさかの五連勝。
菊地圭尚選手のアタマでビックリする配当だった。

『付けたねぇ〜。』
『付けましたねぇ〜。トミーさんの云う通りサラッと三連単四車BOX買ったら引っ掛かりました。』
『だからさ〜。』

その夜はナイター開催が無かった。
救われた。
何時ものパターンだと儲け分を全て突っ込み、またトミーさんに御世話になるところだった。
この日だけはナイターが無い事に感謝した。

結果的にアルバイト一ヶ月分弱を儲けた。
ジャリ銭から。
マグロのぶつ定食から。

この奇跡を思い出す度、父の話を思い出す。

『高原永伍が初めて松戸に来た時、会社休んで松戸に行ったよ。給料袋持ってさ。給料全部突っ込んだら三コーナーで浮いて九着。俺の給料全部おジャン。あれは泣いたね。』


昨日の平塚ナイター準決勝最終。
母のカラオケスナック出勤。

『今日刺身有るからね。』

マグロがあった。
トミーさんの誕生日にマグロがあった。
お客さんに出す前に一口食べた。
武藤龍生選手が走っていた。
西武園A級決勝で内に潜った武藤が走っていた。
トミーさんに愚痴を聞いて貰った武藤がS級の準決勝に走っていた。
奇跡だ。
全ては揃った。
これは奇跡がまた起こる。

石井=林-武藤
石井-武藤-林
林-武藤-石井

に有り金全部突っ込んだ。
武藤は中団獲れる。確実に。
準決勝は石井が逃げる。

石井が逃げた。
武藤が中団を獲った。
決まった。
奇跡がまた起きた。
トミーさんありがとう。

『武藤、内に突っ込め〜』

外に踏んだ。
あの時とは違い外に踏んだ。
高原の様に外に踏んだ。
高原の様に外に浮いた。
親父の様に文無しになった。
武藤の番手、阿久津が三着になった。
林-石井-阿久津。

泣いた。
おジャン。
あれは泣いたね。


トミーさん、あの時の様な奇跡は起こりませんでした。
めんごめんご。


『だからさ〜。』


トミーさん
還暦おめでとうございます。



競輪小僧