オレの冬の思い出は、「私をスキーに連れてって」に始まるスキーブーム（40歳後半の読者ならご記憶におありか）でほぼ毎週の土日は上越か志賀高原に通って、サングラスの可愛い女の子と東京で会ってみたらそれほどいいオンナでなく、がっかりしたというのも青春の1ページにあるが、このコラムに求められているのはギャンブルネタだと思うので、何年ぐらい前だったろうか、かれこれ30年くらい前の立川記念と大宮記念を挙げたい。
立川記念は43期の杉井英雄が勝った開催に3日間（当時は3日だった）通ったのを思い出す。当時はスタート取ってイン待ち全盛の時代。杉井はスタートが速く、自分でも駆けられる数少ないオールラウンダータイプのA1上位（当時はA・B級制、A1=A級1班は130名）の選手で悲願の地元優勝を果たした。ご存じのように立川は直線が長く、スタンドの切れ目のある4コーナーから変な風が吹き込み、早く捲ったらゴールで差されるという400バンクにしては大宮のような競輪場である。今はホーム、バックとも特観スタンドになったが、当時はバックが一般席だった。どこの競輪場もそうだったが立川もバックスタンドにノミ屋がいた。車券の販売システムはさすがに大昔の競輪場のような穴場（16を買ったら混雑をはねのけながら向こう側の61の売り場へ）ではなく今と同じように一つの売り場なのだが、なんせ記念開催では2万人は当たり前、ノミ屋なら混雑を避けて1万円で111枚買え、競輪新聞とショートホープが付いてくると来れば、必然的（必要悪とでも言おうか）にお客は流れていった。その後、関西の今で言う反社会的勢力が参入し、恐喝まがいに集客することが警察沙汰になり、取締りが強化され各地のノミ屋は消えていったように思う。取手なんか、特観まで入れてくれたのだ。そんなノミ屋であったが、杉井の優勝した開催ではなぜか3日間とも特観席に入ったような記憶がある。特観席ならそれほど混んでなく、席も確保されて落ち着いて観戦できた。さて、杉井と言えば競輪一族であった。英雄に関しても2013年7月に引退したが、引退前にチャレンジ戦でみかけるたびに当時のことを思い出していた。
次に、大宮記念と言えば矢口啓一郎の優勝も思い出深いが、たしか45期の松本整がバックで落車して憮然として歩いて入退場口に引き揚げてくる光景が浮かんでくる。今は入れずのバックスタンド特観になってしまったが、立川同様、大宮もバックスタンドは一般席で特観席はホームのみだった。松本は本命だったのだろう。車券を買って悔しい思い出ではないので、恐らくオヤジに付いていった時の記憶だと思うが、まさしくスリップダウン、本命選手なので再乗すればヤジられるし3日目はコジキ野郎といわれたくないのでお帰りする悔しさなのか、ヘルメットを走路に叩きつけたのだ。
ところで45期といえば、数々の名選手を思い出す。矢内智、伊藤浩、荒金佳男、渡辺裕、馬場圭一、館石文夫、鎌倉宏之など、ほかにも幾多の名選手がいたと思うがまさに「花の45期」であった。
とまあ、年寄りの与太話であったが、最後までお付き合いいただき御礼申し上げる。
最後に、今日の立川記念は堅い番組編成になっているよう。競輪の復活策として、ファンが取りやすい番組編成をめざしたものか、要注目である。