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「アナザー・デイ」第一話

2015/05/02 17:47 閲覧数(1164)
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 ポール・マッカートニーの武道館ライブでのセット・リストが新聞に掲載されていた。オープニングが「キャント・バイ・ミー・ラブ」、観てたら興奮するすることだろう。「アナザー・ガール」をシャウトするポールもたまらなかったろう。「バースデイ」もシブい選曲だし、アンコールの最後は名盤「アビー・ロード」のB面から珠玉メドレーだった。中盤の「夢の人」「アナザー・デイ」と続くアコスティック・ギターの調を想像するだけでぞくりと背骨が立つ。「アナザー・デイ」は一小節にたくさんの単語が詰まった「早口ふう」なのだが、高校の同級にそれを猛練習した男が居た。英語の発音は怪しいが、流暢に歌う奴の得意顔が思い浮かぶ。古本屋から麻雀の教則本を買ってきたのも奴だった。麻雀も猛勉強したのだろう。点数を覚えるのは奴が一番だった。奴は常にグループのなかでギャンブルの先達だった。麻雀・パチンコだけだった初心な俺に競馬の存在を教えてくれたのも奴だった。後年、奴と奴の兄貴と十五六時間ぶっ通しで麻雀をしたことがある。その兄貴の友人の部屋だった。途中で何か喰おうと出前を注文したのだが、部屋主は電話で「わるいけどついでにショート・ホープ四個買ってきてくれないか」と頼んだ。三十分後、四皿の炒飯と四箱の煙草が届いたのだった。
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