大楽寺からだらだら歩いて英雲荘到着は九時十五分。玄関前を箒で掃いている男性に開門は九時半だと説明されたがNさんが温厚に懇願する。此方が競輪の仕事だと知ると男は笑顔になり、S級かと尋ねた。俺は防府の開催グレードのことだと勘違いし、もちろんS級ですよとこたえたら、握手してくれと手を差し出された。こんなひ弱な競輪選手は居ませんよ――。俺たちは定刻十分前の見学を許された。十数年前、奈良の大仏殿で、もう閉門の時間だからと注意してきた警備の人間に、カメラのシャッターを押してくれと頼んだ迷惑集団再びだ。
防府最終日〈第八競走〉武田豊-諸橋愛の番手捲りを追っているのは阿竹智と読み①⑨⑧。〈第十一競走〉はあまり車券の食欲が湧かないので大雑把な消去法で。大宮記念の渡部哲の「不一致」が気に食わないので真っ先にこのラインは切る。新田祐と山崎芳の「現在・過去・未来」は大いなる妄想可能だがどうにもまとまらない。稲垣裕の番手捲りを神山雄が差すという芸のない結論で①②③と①③②。
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