明日からの立川記念に佐藤愼太郎が追加で斡旋されたが、大晦日、元日、二日と奈良を走っているから休みなしで前日検査を受けることになる。おいおい昨年末の三十日にグランプリ覇者となったシンタローが、すぐの奈良を走ってそのまま立川記念なの――? と吃驚する人もゼロではないか(ま、競輪ファンには居なかろうが)。今年からグランプリ・ジャージをまとうのは福島78期の佐藤慎太郎、強行軍の佐藤愼太郎はおなじ福島籍でも83期の同姓同名(正確にはシンタローのシンの字が「慎」「愼」と違う)である。
昔、ちょっとおどろいた同姓同名「中野浩一」も両者福岡籍だった。強い強い35期の中野浩一に対して47期の中野浩一にはちょっと失礼な形容がついていたと記憶する(競輪ファンは小学生みたいなあだ名づけが大好きだ)。
ガールズの同姓同名なら特別常連の石井貴子(千葉106期)と、まだそこまでではない石井貴子(東京104期)をすぐ想い出す。その東京の貴子の姉が千葉の貴子と大舞台で幾度も闘っている寛子(東京104期)だと記せばややこしくなるが、俺にはこの相関が妙に好ましい。
十五年か二十年ほどさかのぼった地方の酒場で乾杯直後からずうっと、群馬の稲村父子に稲村兄弟、宮城の菅田兄弟、北海道・神奈川の藤巻兄弟、東京の山口兄弟に岐阜の山口兄弟、宮城の荒川兄弟、青森の坂本兄弟、京都の村上兄弟……等々、座敷には三十代から五十代までの競輪党が居たから、もっともっとコアな父子・兄弟(母子もあったし、強い兄と弱い弟、偉大な父と鳴かず飛ばすの子も又俎上には恰好である)が次々に挙がった(もしかして肝心要の父子兄弟を書き漏らしていたらご勘弁を――)。冗談ではじまった「競輪最強親子」「競輪最強兄弟」検討会はいつしか喧嘩腰になるほど二三時間があっという間だった。あの日、あの場所の、阿呆で、愉快で、夢中だった集団を懐かしく想う。会員は皆が歳をとり、幾人かは鬼籍にはいったゆえ再結成は無理だが、なぁにあの一回で議論は出尽くしたから問題ない(あくまで当時に限ることで、脇本兄弟とか柴崎兄弟とか中川兄妹の新たな追加項目は後身に譲ります)。
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