「際だつ本線――⑦吉田有希-①平原康多-⑤武藤龍生――の後ろには、おそらく平原と同期生の④岩津雄介がいる、だから①⑤④。」なる拙稿を別紙に載せた。オールスター競輪四日目第十レースの予想である。
発走してまもなく正攻法に⑦-①-⑤-④と並んで、そのまま赤板からしゃにむに突っ張った。うん? できたなどとは言わないが、相応の期待はいだいた。あと一周で⑨皿屋豊のカマシが優ったが、平原がすかさずその後ろを捌いて⑨-⑦-①-⑤-④の隊列となった。(平原ァ、後ろは武藤(地元-地元だ)だし捨てて捲ったほうがいいんじゃない?)①⑤④を持っているわたしはこころでお願いしたが、平原は吉田を捨てない。というか車を外に振りしきりにかばっている。呼応したわけじゃなかろうが武藤が一瞬内を空けた。「隙あり!」と岩津が内に潜り、わたしの①⑤④はこわれた。
捨てちゃってくださいよぅ。と、ぼやくわたしもいるが、やっぱり平原はそうだよな。と納得するわたしもいた。
人間が走っているから――正確に申せばわたしとは別の人間が走っているから(おれが競輪を走れるわけもないが)――仕方ない。だから面白い。
たまぁに、ごく稀に、捨てちゃえと念じれば捨て、もう捲って良いよとGOを出せば捲り、そのまま①⑤④と吐けばきれいに①⑤④――そんなエクスタシーを味わえるのも、人間が走るギャンブルゆえである。
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