明日は人間魚雷になる。と児玉広志が取り巻く記者団に発したのはどこの〈特別〉だったか。翌日、「人間魚雷」の言葉に惹かれた俺らは気をそろえて児玉の頭車券を買った。児玉は◎でも○でもなく三番目四番目の評価だったと思う。最終バックで抜け出した児玉に思わず声が出る。捲れ人間魚雷! ところが自転車は全然進まなかったのだ。競走後の児玉はバンクの強風、己の体躯によるトルクのなさが原因だと冷静に振り返ったという。「人間魚雷」「トルク」など児玉はウイットに富んだ言葉を使える選手だった。
競り勝ち尚且つ前を抜く。児玉の「競輪」は金銭を賭す価値ありのプロフェッショナルだった。選手間の評判が悪かろうが、記者受けが悪かろうがそんなことは関係ない。児玉の車券を支持し、児玉の走りに酔ったファンは全国に大勢居る。
「横紙破り」の超一流が旅立ってしまった。
合掌。
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