競輪界にとって、複雑な季節の到来である。昨年末に起きた、競輪選手会脱退騒動のあおりで、長塚智広や平原康多といった競輪界のトップクラスの選手達がそれぞれの謹慎期間に5月から入る。私はこの騒動自体が悪いとは思わなかったが、やはり処分に関しては大人同士の付き合いという意味では、後味の悪い展開だった気がしてならない。競輪界にとって何が大事なのか？そういった意味合いで彼らの取った行動が否定されるような事があってはならない。発想はプロフェッショナルそのものだからだ。選手会が組織に依存するような構造を嫌ったのかもしれないが、こればかりは取材もしてないし外野がとやかく言うような話ではない気がする。だが、これは他の選手に目を向ける良い機会でもある。競輪の側も、これを契機に若手が育成できるような取り組みを増やす良い機会だと考えれば良い話であり、ある種の「割り切り」が必要な局面なのは間違いない。彼らのひたむきさは今の世からすれば隔世の感があり、今の世に必要な要素だと私は感じている。真面目実直は今の世はウケないのかもしれないが、そういった要素が、今後競輪にムーブメントを飛びこむ素地は十分あると考えている。競輪の将来を考えれば、悪くない話だという「割り切り」も必要かもしれない。