俺が蹴る、いや俺だ! とピッチ上で揉め気味だったACミランのFWだが、キッカーはボールを抱えてまで我を通した本田圭祐に落ち着いた。テレビ観戦の俺は苦笑いだが、直後に左脚から放たれたフリーキックの測ったような弾道には興奮させられた。子供みたいに主張したあとに結果を出すのだから恰好いい。志願の先陣・先頭で役に立たないどこかの競輪選手とはえらい違いだ。
ところで「二段駆け」「番手捲り」なる競輪用語が生まれたのはどのくらい前なのだろう。デカいレースで記憶に濃いのは井上茂徳がグランドスラムを達成した琵琶湖競輪場か。富原忠夫が引っ張って中野浩一-井上で番手発進だった。勿論その前にも後にも種々雑多な二段駆けは存在しよう。そもそも競輪競走そのものが二段駆け・番手捲りの要素を常に含んでいるとも言えるのだから。
補充選手がまだ競走得点ノーカウントの制度のもとではけっこうオイシイ二段駆けがあった。黙っていても本命が売れる時代の第二ライン、第三ラインのブン回し作戦には大いに車券の食欲をそそられた。同業他社のM君などは全国の自力-自力の並びを毎日せっせと調べ(十幾年も前の話だから、これが便利な昨今とは違いけっこうな苦労だった)年間の車券成績をプラスにしてみせた。
現今の二段駆け車券(妄想も含めて)は、まア売れる。番手捲りだ、三段ロケットだと興奮するのはいいが、只の一番人気を打ってるだけじゃないかと我に返ってシラケてしまうこともある。
――弥彦の決勝は二段駆けですよ。朝一番に後輩のKが言う。周りの何人かが、そして俺も新聞を手に取って該当箇所を読む。コリャ大一番人気だろうと誰かは気がない素振り。三着が絞れないと独り言つ者に、Kの声など無視して報知新聞の野球欄を熟読する奴。ところがだ! 数時間後、部屋のほぼ全員がテレビの映像に向って興奮している。もう出ちゃえよ、イイカラ捲ってくれ~。
どうやら二段駆けには皆の心を一つにする作用があるらしい。
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