自宅から自転車で五分で着く川口オートに出張る気力すら起こらず、スピード・チャンネルの「アーカイブ」なる特別競輪の総集編を茫っと見ているが、各年・各競走の記憶が薄れているのに愕然とし、己の錆びつき加減に萎えるものの、「目」だけは不思議に浮かぶのだ。「六番車の山田裕仁だから、麻雀の筋、六-三-九か六-九-三のはず」「小野俊之の優勝はゾロ目、九-八だよ――」「武田豊樹が海老根に差されちゃうのも九-八だったなァ」等々。レースが走り始め、画面右上部の選手名・車番を視認して、実況が被さると、脳内にぽこっと「目」が降りてくるのなら、あと数年何とか凌げるだろうかと、手前勝手に開き直る俺だ。
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